日本の「運命」について語ろう 


 2018.8.21      中国の歴史から学ぶ 【日本の「運命」について語ろう】

                     
日本の「運命」について語ろう【電子書籍】[ 浅田次郎 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
浅田次郎が日本の歴史について語る。つい最近、宮部みゆきの「昭和史10大事件」を読んだのだが、そこの中に被る要素がある。江戸時代以降から近代史まで。中国の歴史を含め、作者がわかりやすく語ってくれる。尊王攘夷の話や参勤交代、第二次世界大戦やソ連との戦争、そして中国の歴史など作者の作品に関連する歴史が語られている。特に中国の歴史や科挙制度については、かなり興味深い。

作者の作品のファンならば間違いなく楽しめるだろう。日本の歴史にかかわらず、日本がどのような道を歩んできたのかと、それに関連するように中国の歴史についても語られている。歴史から何かを学ぶべきだが、あまりに強烈な歴史のために、現代の日本にどのように影響を与えるのかはわからない。

■ストーリー
日本の未来を語るには、歴史を知らないと始まらない! 特に現代生活に影響を与えているのは江戸以降の近現代史。「アメリカのペリー来航が一週間遅ければ国際関係は全く違っていた」「第二次世界大戦終結後にもソ連との戦闘は続いていた」等、秘話満載。歴史という過去を見つめ続けた小説家がこれからの日本が歩むべき道を照らす、現代人必読の書。

■感想
作者の過去の作品を引き合いにだし、日本の歴史について語っている。参勤交代を題材にした「一路」や、終戦直前の日本軍について題材とした「終わらざる夏」など、それなりに作者の作品を読んでいる人にとってはおなじみの内容だ。

日本の歴史についてそれほど詳しいわけではないが、作者の作品になじみがあれば楽しめるだろう。作者の父親や粋な江戸っ子についての描写などもあるので楽しめる。江戸っ子はちょっと出かけるのにも、おめかしをして出かける。古き良き東京といった感じだ。

中国の歴史については作者の得意分野だ。「蒼穹の昴」や「中原の虹」などを読んでいれば、より楽しめるだろう。中国がヨーロッパ諸国から植民地として狙われ、日本も同じように中国に攻め入る。昔の中国が他国に侵略される側だったというのは、今の中国からは想像できないだろう。

その際には、李鴻章ひとりで私設の軍隊で戦っていたというのには驚いた。作者の中国歴史物ではある程度理解してはいたが、それほどすごい人物だとは思わなかった。香港が返還されたことについても、過去の李鴻章の功績だということも大きい。

日本の今後や運命がわかるわけではない。ただ日本の歴史を興味深く学べることは間違いない。学校で学ぶ歴史の教科書よりも何倍も理解しやすい。物語として多少の脚色はあるかもしれないが、歴史への興味をもつきっかけとしては間違いなくすばらしい入り口になるだろう。

それと共に、中国の歴史とそこに紐づく日本の歴史についても語られているので、数珠繋ぎに歴史に興味をもつことができるだろう。歴史のIFについても語られているので、日本には別の未来があったという流れも想像できるのが面白い。

強烈なインパクトはないのだが、歴史に興味をもつきっかけとなるのは間違いない。



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