昭和史の10大事件 


 2018.8.18      昭和独特の混沌とした雰囲気 【昭和史の10大事件】

                     
昭和史の10大事件 (文春文庫) [ 宮部 みゆき ]
評価:3
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■ヒトコト感想
宮部みゆきが半藤一利と昭和史の10大事件を語る。宮部みゆきが選んだ10大事件は、知っているものもあれば知らないものもある。ただ、どれも興味深いことは確かだ。特に作者の作品とリンクしている「蒲生邸事件」を通して二二六事件の概要がよく分かった。さらには、第五福竜丸の事件とゴジラの関連性など、リアルタイムには知らない事件であるため、つながりがあるとは思わなかった。

日本初のヌードショーについても、今とはくらべものにならないほどモラル的に厳しい時代だったのだとよくわかる。おまけ的な半藤の学生時代のボート部の話などは、時代を感じさせる流れではあるが非常に興味深い。昭和史に詳しい人も詳しくない人にもおすすめだ。

■ストーリー
意外な顔合わせのお二人は、なんと東京下町の高校の同窓生(ただし30年違い)。宮部さんの歴史ミステリー『蒲生邸事件』の題材でもある二・二六事件から、東京裁判、金閣寺焼失、第五福竜丸事件と『ゴジラ』、日本初のヌードショーまで!硬軟とりまぜザックバランに語った痛快対談。歴史探偵と作家の眼で「昭和史」が立体的に見えてきます。

■感想
宮部みゆきが昭和の10大事件を選び、それについて語る。太平洋戦争終結間近の二二六事件や東京裁判は強烈だ。特に東京裁判については、結局のところ政権がころころと変わったことにより、責任の所在がはっきりしないというのには驚いた。

自分は東京裁判についてはほとんど知識がなかったので、どのような状況でどんな裁判だったのかのさわりが知れたのはよかった。あまりに長く続いたため、当事者たちの緊張感がなくなり居眠りしているというのも笑いがでてくる状況だ。

第五福竜丸の事件はかすかに知ってはいたが、それがゴジラとつながるとは知らなかった。ビキニ島での原爆の実験がアメリカが想定したよりも広範囲に影響を及ぼしたことが原因らしい。原子力という人間が制御できないものに手をだそうとすると痛い目を見る。

それは、現在の原子力発電についても同じなのかもしれない。昭和の時代には、その時にはわからないが今考えるとかなり無茶なことをしていたというのがあるのだろう。まさに昭和の時代独特の混沌とした雰囲気ということなのだろう。

昭和史の10大事件の中に、日本初のヌードショーがあることに驚いた。時代的に女性のヌードが一般人の目に触れるなんてことの無い時代なので、それなりに衝撃的なのだろう。ヌードショーの写真を見ると、いかにも昭和を感じさせるような写真となっている。

今の時代では考えられない状況だが…。自分の中では昭和についてはあまり印象にない。昭和を感じるとしたらテレビ番組で昭和の状況を見るか、「ALWAYS」などで昭和を感じるしかない。平成と昭和ではかなり印象は異なってくる。

今後、平成から新元号になると、今度は平成が古臭く感じるのだろう。



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