宮部みゆき全一冊 


 2019.2.25      宮部みゆきファン必読 【宮部みゆき全一冊】

                     
宮部みゆき全一冊 [ 宮部 みゆき ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
宮部みゆきファンが大喜びしそうな作品だ。宮部みゆきのデビューからの全作品が紹介されており、作者自身がどのような思いでデビューに至ったのか。そして作品についての思い入れまで。そのほかには北村薫佐藤優との対談もある。あいまには、いしいひさいちの漫画もある。そして、未発表の短編まで。ファンならば外せない作品だろう。

あまり作者のエッセイは印象にないので、作者の人となりが知れるというのもよいかもしれない。30年近く第一線で活躍している作家。ゲームが好きでゲーム関連の作品を書いたりもしている。編集者との関係や仕事のパートナーの死についても語られている。作者の、人間的にブラックな人物の話についても描かれているのがよい。

■ストーリー
長年単行本未収録だった、幻の短篇小説3本! ファン必携のコンプリートブック、満を持して誕生!! 未収録エッセイ15本、映画監督や作家との未収録対談、超ロングインタビュー、作家生活&全作品年表、いしいひさいち漫画2本、藤田新策・新潮文庫装画画廊、こより・『この世の春』挿画ギャラリー……など。秘められていた宮部作品のルーツと創作の原点を収録。本人による貴重な自作(「負の方程式」)朗読CD付!

■感想
宮部みゆきの今まで未発表の短編が3本収録されている。これだけでファンならばたまらないだろう。自分の中でも宮部みゆき作品はほぼすべて読んでいると自負しているので、本作もはずすわけにはいかない。短編については未発表にするにはもったいないクオリティとなっている。

未収録のエッセイについても、作者はあまりエッセイ集を発表していないだけに価値がある。作品からはうかがい知れない作者の性格やプライベートな部分が知れるのもよいのかもしれない。

作者がどのような経緯で作家デビューをしたのかがインタビュー形式で語られている。高校を卒業後、速記の専門学校に通いながら、そこから弁護士事務所に勤務し、その後小説家としてデビューする。子供のころから文才があったわけではないようだが、教師からは文章を書く仕事についた方がよいといわれていたらしい。

意外だったのは作者が小説を書く学校のようなものに通っていたということだ。プロの作家になるような人は、そんな学校に通う必要はないと思っていた。

本作にはあの得体の知れない恐怖感が押し寄せてくる「この世の春」の連載時代の挿絵ギャラリーがある。自分は単行本でしか読んでいないので、その挿絵があるとさらに恐怖感は倍増したことだろう。

作者の時代小説は得体の知れない恐ろしさがあり、現代小説では「名もなき毒」に登場してくるキャラのように信じられないような悪意を持った人物が登場してくる。この強烈な悪意がある人物は、作者独自のものだろう。さらに言うなら、読者からかなり「あるある」という共感を得ているらしい。

自分の周りにはそこまで悪意のある人物がいないだけに、世間は恐ろしいと感じてしまった。



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