ライオンの棲む街 平塚おんな探偵の事件簿1 


 2018.7.28      タメ口、ぶっきらぼうキャラ 【ライオンの棲む街 平塚おんな探偵の事件簿1】

                     
ライオンの棲む街 平塚おんな探偵の事件簿1 [ 東川 篤哉 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
元OLの川島美伽が狂言回し役となり、美伽の旧友で口調が荒くまるで野生児のような生野エルザが探偵役となる。基本は作者の面白キャラクターミステリーのひとつだ。今回はため口、ぶっきらぼう、強引なエルザのキャラがメインだ。ただ、今までのお嬢様や執事魔法使い喫茶店の店長などと比べると思いのほか個性が弱い。

エルザがやる気のない探偵風ではあるが、仕事はそれなりにこなす。ただ、探偵としての能力がずば抜けているだとか、特殊な推理をするというのはない。特徴がないとなると、事件に特徴を出す必要があるのだが…。鏡のトリックだとか、人の入れ替わりトリックだとか、わりと使い古されたトリックのオンパレードとなっている。

■ストーリー
都会で夢破れ、故郷・平塚に帰ってきた元OLの川島美伽は、高校時代の旧友・生野エルザと再会する。“雌ライオン”の異名を持つエルザは、地元の刑事も一目置く名(?)探偵に成長していた…!強引に助手にされた美伽はエルザと共に、厄介な依頼人が持ち込む奇妙な事件の調査を始める。海と祭りの街を舞台に、最強の美女探偵コンビの名推理が炸裂する本格ミステリー誕生!

■感想
美伽とエルザのコンビが謎を解く。というか、この手のキャラミステリーについては、キャラの個性がすべてだろう。本作のエルザは確かに特徴的なキャラクターではあるが、特別魅力的なキャラであるわけではない。

地元の刑事である宮前との絡みや、依頼人との絡みも、ぶっきらぼうなタメ口キャラですべてを押し通している。目の前の鏡に、隣の人物は写っているが、自分の姿がない。占い師に騙されたトリックを暴いたり、アリバイトリックを解き明かしたりと、わりとありきたりな展開だ。

エルザが探偵として特別な能力があるわけではないのもポイントだろう。逆に探偵として未熟な部分が事件をより複雑にしている。尾行相手に気づかれたり、探偵であることをバレてはならないのに、正体がバレたり…。

美伽もエルザも普通のアラサー女子という感じなのだろうか。となると、同じくアラサー女子が主人公の「かがやき荘 アラサー探偵局」がある。そことの違いは、単純に探偵役の性格的な違いでしかない。作中では、ふたりは美女という描写もあるのだが…。そのあたりの美女要素も物語にあまりでてこない。

作者の作品は場所のネタをよく出してくる。過去には南武線の溝の口や、西荻窪なども登場してきた。今回は平塚がメインとなっている。ローカルな平塚ネタや、そのほか平塚を揶揄するような流れもある。この手のパターンが定番となっている。

平塚の地で女探偵たちが大暴れし、その先ではローカルなネタが満載となっている。関東近辺以外の人にとっては平塚や湘南の位置関係は把握できないので、この手の地元ネタは意味がわからないかもしれない。

作者のキャラ探偵モノとしてのバリエーションのひとつだ。



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