日曜日は青い蜥蜴 


 2021.6.13      恩田陸が好きな本や映画のエッセイ 【日曜日は青い蜥蜴】

                     
日曜日は青い蜥蜴 [ 恩田陸 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
「土曜日は灰色の馬」と同じパターンの作品だ。恩田陸が読んだ本、見た映画作品、そして他作家の作品についてのエッセイなど多種多様だ。作者に関する雑文集と言えるのだろう。前作もそうだが、作者の好きな作品の傾向がよくわかる。そんな作者が好きな作品と自分の趣味があえば楽しめるだろう。合わないとしても、作者がどのような作品を見て楽しんでいるかを知り、自分もそれを読んでみようと思うかもしれない。

それ以外にも同業者に対するエッセイもある。特に印象的なのは、若竹七海の作品について触れたエッセイだ。自分と同じような系統の作者に対してどのような思いでいるのか。作家が同業者についてどのような思いでいるのかを知ることができるのは良い。

■ストーリー
少女時代のエピソードあり、笑える読書日記あり、真摯で豊かなレビューあり……。約10年ぶりに放たれる待望の新刊エッセイ集! 書き下ろしあとがき収録。

■感想
序盤は作者の日常の日記のように、ちょっとした日々の中で読んだ小説や見た映画について紹介されている。その後、それらの詳細な書評や映画評が語られている。作者が見た作品の中で「クラウドアトラス」について語られている場面がある。

自分も見たことがあるので、共感できる部分あり、クラウドアトラスの面白さを説明することの難しさを作家でも感じるのかと驚いた。時系列や時代までもが入り交じり俳優たちが特殊メイクをしている世界なので、誰と誰が繋がりがあるとかは、まったく理解できなかったが、何か壮大な作品だという雰囲気はあった。

作者が若竹七海について語っている部分は強烈だ。世代も近く書くジャンルも同じ、そして自分が書きたいことを若竹七海も書いているということらしい。当人同士がどう思っているかはさておき、第三者から見るとどちらも同じように売れていると思えた。

作者からすると、自分がやりたいことをいつも少し先にやっているのが若竹七海らしい。作家のライバル心というか、同じジャンルでの作家同士というのがどのような思いでいるのがわかるのは新鮮だ。

作者がキリスト教だとか、どのような作家に注目しているのかだとか。作品だけを読んでもうかがい知れない部分が知れるのは良い。10年間となると様々な雑文が蓄積されているようで、その時代を感じる記述もある。

このシリーズは続編が出ることも決定しているらしい。次回もまた曜日がタイトルにつくようだ。恐らくは次回はコロナについての記述もあるのだろう。作家として作品だけでなく、雑文までも読むのは、その作者のファンであることは間違いない。

恩田陸ファンならばはずせない作品だ。



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