土曜日は灰色の馬 恩田陸


2012.4.15   作者の趣味と合うか合わないか 【土曜日は灰色の馬】

                     
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■ヒトコト感想

作者が好きな本、映画、マンガについての雑文。作家として他の作家の本に対して推薦文を書くことも多いのだろう。それらがまとめられている本作は、作者がどのような本が好きで、何に興味を持っているかがよくわかる作品となっている。やはりというか、当然とういか読書家だ。古い作品から新しい作品まで、作家になるくらいなので、かなりの読書量だ。作者のファンならば、作者がお勧めする作品は読んでみたくなる。自分の中では「佐藤優」という元外交官の書いた本をベタボメしていることが気になった。作者がそれほど褒める作品とはいったいどんなものなのか。気になってしかたがない。それ以外にも、作者の好みがはっきりとでているような本を批評している。

■ストーリー

ホラー、SF、ミステリーなど、さまざまなジャンルの物語を書き分け、多くの読者を魅了し続ける小説家・恩田陸さん。汲めども尽きぬ物語の源泉はいったいどこにあるのでしょうか!? ブラッドベリにビートルズ、松本清張や三島由紀夫まで、恩田さんが大好きな本・映画・マンガなどを大胆奔放に語る、ヴァラエティに富んだエッセイ集。

■感想
作者がどのような考え方をもっているのか。作者の読書遍歴を見れば、それが多少なりともわかってくる。特に影響された映画作品を見ると、作者の作品に大きく影響を与えているというのがよくわかる。基本的にその映画作品を知らないと楽しめないだろう。作者が映画作品を批評し、その批評と自分の思いがどの程度違っていて、どこに共感できるのか。まったく知らない作品であっても、作者がベタボメしているのならば、見てみたい気持ちになる。基本的には本や映画が好きではないと辛いかもしれない。

作者の好みと合わなければ辛いかもしれない。今回でいうと、少女マンガはまったく読んだことがないので、ほとんど楽しめなかった。作者が思い出深い少女マンガについて、熱く語っている。が、その少女マンガについて無知で、なおかつ少女マンガ全体についてもほとんど知らないので辛い。おそらく有名マンガなのだろうが、説明されてもどこがすごくてどこが面白いのかがよくわからない。と言う感じで、作者の趣味と自分の趣向があわないと、強烈に読むのが辛くなる。

エッセイ集として全体を総括するなら、作品の批評集といっていいのかもしれない。批評するくらいなので、作者の好きな作品ばかりなのだろう。その中で、どのジャンルでもいいので自分と合うものがあれば、とても楽しめるだろう。お互いの感想を共有するというか、好きな作家が自分と同じところで感動し、楽しんでいると知ったら、うれしくなる。逆に作者独特の目のつけどころに驚かされたりもする。作者が強烈におすすめする作品は読んでみたくもなる。そうやって、読書や映画の趣味の幅を広げていくのもいいのかもしれない。

映画、本、少女マンガ好きな人は読んでみるといいだろう。



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