「愛」という言葉を口にできなかった二人へ 


 2014.8.23      マニアックな映画を選択 【「愛」という言葉を口にできなかった二人のために】  HOME

                     

評価:3

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■ヒトコト感想

世界は「使われなかった人生」であふれてる」と同様に映画評なのだが、対象とする作品が割と新しい。そのため、なじみのある作品や、自分が見て感想を書いた作品も多数ある。自分が良く映画を見ていた時期とかぶるというのもあり、その時期にもっと有名な作品はたくさんあるはずが、それらを作者は取り上げない。

恐らく作者はハリウッドアクション大作は嫌いなのだろう。嫌いではないにしろ、映画評を書くことができないのだろうか。本作で選ばれた作品は、かなりマニアックだと思う。そんな中でも作者の映画評を読んで、強烈に見てみたくなる作品もある。全体的に、作品の面白さをとりあげているので、必然的に面白そうに感じるのだろう。

■ストーリー

誰もが回顧する、「あのとき言えていれば」という甘美な思い。だが、愛を口にできなかった者たちの物語とは、愛が成就しなかった者たちの物語でもある―。『ブロークバック・マウンテン』『フィールド・オブ・ドリームス』『プリティ・ウーマン』…。スクリーンに映し出される一瞬の歓喜と哀切を鮮やかに手腕で浮き彫りにする珠玉の三十二編。

■感想
モーターサイクルダイアリーズ」は、旅好きの作者が絶賛するように、自分もかなり面白いと感じた。作者はそうは書いていないが、なんとなくこの作品の主人公は、作者と同じ考えを持っているように感じてしまった。一台のバイクに男が二人乗りし南米を旅する。

見た後は無性に旅に出たくなった。この感覚は作者の「深夜特急」を読んだ時にも感じたことだ。チェ・ゲバラ信者が大喜びする作品なのだろうが、若者を旅へと駆り立てる力がある。作者も本作の持つパワーに気づいたようだ。

作中の中で「タブロイド」は、見てみたいと強烈に思った作品だ。テレビのレポーターが連続殺人犯のスクープを狙うという作品だが、ジャーナリズムの在り方から始まり、連続殺人犯の正体は情報提供者である人物か、それとも別にいるのかというミステリーがとても気になる。

雰囲気的にかなりショッキングな作品のようだが、興味をそそられてしまう。ジャーナリストでもある作者から見た映画評は、手放しでほめているわけではないが、面白いというのが言葉の端々から伝わってきた。

「プリティー・ウーマン」の映画評があることに驚いた。これほどメジャーな作品をとりあげるのは、作者にしては珍しいのではないだろうか。ジュリア・ロバーツのシンデレラストーリーをメインとして語っているのだが、ストーリー展開よりも、新人女優の輝きに驚いたことがメインとなっている。確かに世界的にヒットし、誰もが知っている作品だが、作者が作品評を描くと、こうも違った視点があるのかと驚かされてしまう。

人と違った切り口で語るというのも重要なのだろう。




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