ここはボツコニアン2  


 2013.2.7     ファンタジーからシミュレーションへ? 【ここはボツコニアン2】

                      評価:3
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■ヒトコト感想

前作から引き続き、ボツネタの集まったファンタジー世界で巻き起こる騒動だ。基本的に前作を読んでいないと楽しめない。そして、ドラクエやFFなど基本的なRPGを一通り経験していないと、ボツネタと言われてもあまり意味がわからないだろう。本作では、細かなキャラ紹介や世界観が出来上がっている状態なので、ストーリーの進みは速い。ただ、よくあるRPGの形を踏襲しているので、違和感はないがワンパターンに感じることがある。ゲームの世界ではタブーとされていたモンスターが金を落とし経験値を貯めることができることに意義を唱えている。というか、ボツネタなので、オーソドックスにはならず、敵を倒してもレベルアップをするわけではない。最近のゲームではそのあたり、踏み込んだ解釈で独自の世界を作っている作品もあるが…。本作も特殊なことは間違いない。

■ストーリー

宮部みゆき、話題のお気楽極楽ファンタジーが本格度・ドキドキ度200%アップ(当社比)で帰って来た! おなじみピノとピピの二人が、魔王のいた街〈アクアテク〉を舞台に数々の冒険に挑む!

■感想
PRGのお約束をネタとしてあつかい、独特なファンタジーの世界を形作る本作。挿絵の効果と、作者のネームバリューによって連載がもっているとしか思えないような作品だが、根強いファンがいるのだろう。ゲーム好きには、ニヤリと笑えるようなポイントがあるが、マジメに宮部作品を愛する人にとっては、かなり違和感をもつことだろう。シリアス感はいっさいない。挿絵のせいかライトノベル風な雰囲気があり、「ブレイブストーリー」的な、ファンタジーRPGの負の部分を描くというようなこともない。

作中で大人気饅頭の秘密を暴くというパートがある。そこは、PRGの世界からすると異色だが、そこから広がる世界がなんだか面白そうな雰囲気だ。饅頭は中国。ということで、売れすじ饅頭の秘密をさぐるため中国にまで行き着いてしまう。そして、そこでは三国志の世界が待っている。個人的に三国志はゲームも物語も好きなので楽しみだ。ただ、コアな三国志ファンでなければ通用しないようなネタがたっぷりと盛り込まれそうで恐ろしい。「レッドクリフ」などで赤壁の戦いは有名になったとはいえ、マイナーキャラを登場させるのはどうなのだろうか。

個人的には第3巻が楽しみだ。ただ、それは三国志のコアなファンだからというのがある。そうでない人にとっては、もしかしたら究極に退屈な物語になる可能性がある。ファンタジーRPGの世界から、シミュレーションの王道である三国志の世界へ。幅広くゲームにせいつうする作者だからこそできることなのかもしれないが、一般誌でどれだけ需要があるかは疑問かもしれない。ファンタジーとしての面白さに飽きてきた人には、シミュレーションゲームの世界を物語にどう転化していくのか、そのあたりを気にして読むのも良いかもしれない。

このシリーズはどこまで続くのだろうか。




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