2012.6.26 ゲーム好きならどうぞ 【ここはボツコニアン】
評価:3
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■ヒトコト感想
ゲーム好きな作者らしい作品だろう。”ボツコニアン”というボツネタが集まった世界でのファンタジーRPG。基本的にRPGをやったことがない人は、あまり楽しめないだろう。ゲームの基本とお約束をわかっている前提で、描かれている部分がある。中にはマニアックなネタがあり、そこそこついていけるつもりでいたが、まったくわからないネタもあった。年代的には作者と同年代か、せめて30代程度で、ある程度サブカルチャーにせいつうし、ゲーム好き。そんな人であれば、作者と同じ目線で楽しめることだろう。作者のミステリーが好きで本作を読んだ場合は、あまりのギャップの激しさに驚くことだろう。「ブレイブストーリー」や「英雄の書」である程度慣れていたので、なんとかついていけたとうい感じだ。
■ストーリー
“ボツネタ”が集まってできた、できそこないの世界“ボツコニアン”。そこをより良い世界に創り変えるため、「長靴の戦士」として選ばれた少年ピノと少女ピピ。植木鉢の花の姿をした「世界のトリセツ」と共に二人は、前代未聞・驚天動地・抱腹絶倒の冒険の旅に出る!宮部みゆきの新境地、RPGファンタジー。
■感想
良くあるRPGを、そのまま小説にしたような作品だが、作者の遊び心がつまっている。ボツネタを集めたということで、ある程度PRGの定番的なネタのオンパレードだ。ただ、基本的には、ゲームをやったことがない人には、ついていけないネタばかりが集まっている。ドラクエやFFは少なくともやったことがある人でなければ楽しめないだろう。作者があいまに挟む小ネタにしても、かなりマニアックなものが多い。チュートリアルで死んでしまうという部分で、ファイアーエンブレムをもってくるあたり、一般受けは端から期待していないのだろう。
ある程度ゲームをやったことがある自分からしても、ハードルは高い。RPGファンタジーのお約束である部分に突っ込んだり、矛盾をついたかと思うと、ご都合主義の展開になる。なんだかこの作品自体、あえてPRG風に強引な展開にしているような気がしてならない。挿絵は現役のマンガ家が担当しているということで、全体的にユーモアの印象が強い。本作の内容で挿絵がシリアスならば、あまりのギャップに驚いてしまうので、この程度が良いのだろう。表紙の絵を見て、受け入れられない人は読まない方が無難だ。
連載作品ということで、続編があるのだろう。PRG的にいうと、まだまだ序盤なので面白さはよくわからない。ゲームをこよなく愛する作者らしく、これからもマニアックなネタ満載でくることだろう。ミステリー的な面白さや「ブレイブストーリー」のようなシリアスな展開は期待できない。あるのは、お笑い要素の強いファンタジーRPGをライトに読むというような感じだ。作者自身が物語りの解説役となり、細かい突っ込みやウンチクを披露するあたり、作者の今までの作品にはないパターンだ。
作者のミステリーが読みたい人は、本作を読む必要はないだろう。
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