予幻 [ 大沢在昌 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
ボディーガード・キリのシリーズ第三弾。「獣眼」「爆身」から続く物語だ。相変わらずキリのかっこよさと無敵感が良い。今回は謎のホワイトペーパーを様々な組織たちが狙う。ホワイトペーパーのありかを知る女子大生紅火を守るのがキリの仕事だ。弥生という女ボディーガードが仲間に加わり、中国やヤクザや公安などとの駆け引きを続ける。
キリを襲うような人物は少ない。今回は一つの出来事からじゅづ繋ぎになり、次々と怪しい人物が浮かび上がってくる。ホワイトペーパーの関係者は次々と殺されていく。相対する敵にはキリに匹敵するほどの高度の武術の腕をもつ者も存在する。欧米の情報機関まで巻き込んだ騒動は、意外な人物がラスボスとして登場してくる。
■ストーリー
本名・年齢不詳の凄腕ボディガード・キリは、以前の案件で知り合った大物フィクサー・睦月から警護の依頼を受けた。対象は岡崎紅火、女子大学院生。先日病死した香港シンクタンク『白果』の主宰者・白中峰の娘だ。白は生前『ホワイトペーパー』と呼ばれる会員向けの文書を発行しており、近未来の国際情勢や世界経済を驚くほどの的中率で予測していた。
『白果』には『ホワイトペーパー』の資料となった多くの機密書類と未発表の『ホワイトペーパー』が保管されており、中国公安部に渡るのを危惧した紅火の母・静代は、それを娘に託し、公安部の家宅捜索前に間一髪、香港から日本に持ち出したという。母親の静代とは連絡が取れず、何者かに拉致された可能性が高い。さらには『ホワイトペーパー』を入手しようと、中国のみならず、欧米の情報機関も動いているという。
睦月の依頼は紅火の護衛と機密書類の保護。新宿の民泊施設に紅火を移動させ、部下の女性・弥生を警護につけるという。だがその施設から紅火が拉致された! キリは弥生とともに紅火を追う。彼女は無事なのか? 『ホワイトペーパー』の行方は?人気ハードボイルドシリーズ第三弾!
■感想
ホワイトペーパーを守るためにキリは紅火を護衛する。序盤で紅火が何者かに拉致されてしまう。紅火の行方を探すのが中盤まで続いていく。キリは圧倒的な格闘能力で襲い掛かる敵を排除している。キリは特定の流派ではなく、相手を破壊することだけに特化した格闘技を使う。
キリと弥生が紅火を探しまわるが、その過程で様々な人物に直撃している。少しの手がかりから紅火の行方を手繰り寄せる。あるレストランに各国の情報機関が集まっていたりもする。ホワイトペーパーがそれだけ魅力的なものだということだ。
長大な物語ではキリたちが手がかりをつかむために探し当てた人物が次々と殺されていく。紅火の居所を知る人物から当たっていき、そこからキーマンが何者かに殺されていた。だれが殺したのか?それを調査していく中で、突如として公安の白鳥が登場しキリに近づいていく。
公安の目的が分からない状態で、キーマンたちを殺害した組織も不明のまま物語はすすでいく。読者は誰が黒幕かを想像しながら読むのだが、まったくわからない。下手をしたらキリへの依頼主である睦月が黒幕なのでは?と思ったりもした。
ホワイトペーパーを奪った者を探すために、偽のオークションを開き敵をあぶりだそうとする。逃げ道がない海ほたるでオークションを開催する。ここですべての黒幕が明らかとなるのだが…。意外な人物であることは間違いない。
ホワイトペーパーが大金に化けると分かった瞬間に、金に目がくらんだ者たちが集まり始める。これまでのシリーズと比べると特殊な能力を持つ人物はすでに死んでいる。ホワイトペーパーがなぜ未来を予言できるかについては、特に言及されていない。
キリの強さがずば抜けている。