2021.8.1 探偵キリがパイロキネシスの秘密をさぐる 【爆身】
爆身 (トクマノベルズ) [ 大沢在昌 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
「獣眼」で登場したボディーガード・キリの物語。今回は、ボディーガードの依頼人であるトマス・リーが爆発に巻き込まれ殺害された。キリが守る前に依頼人が殺された。このことでキリはリーが殺された原因を調査することになるのだが…。リーが呪いで殺された可能性があると判明する。呪いで人を殺すことができるのか。キリはリーの元相棒や弁護士などから情報を得ながら、謎の組織にぶち当たる。
キリはハードボイルドの主人公らしく、腕が立ち冷静だ。チンピラに絡まれたとしてもあっさりと撃退する。大物フィクサーである睦月の力を使いながら調査をすすめると、アメリカまでもが事件に絡んでくる。人を呪い殺すことができるかが本作のミステリアスな部分だ。
■ストーリー
本名、年齢不詳。凄腕のボディガード・キリは、ニュージーランド在住のフィッシングガイド、トマス・リーから警護を依頼された。指定されたホテルに到着すると、頭上で爆発音が起こった。現場はリーと待ち合わせた二階レストラン。目の前で依頼人が爆死したのだ。そこへ大物フィクサー・睦月が現れ、リーの死の真相について調査を依頼される。
リーの正体はかつて睦月のパートナーだった増本貢介で、生前「自分は呪われている」と話していたという。増本は呪殺されたのか!?ノンストップ・ハードボイルド“ボディガード・キリ”シリーズ第二弾!
■感想
キリが守るはずのリーは体が燃え、指だけを残して死んでしまう。リーの死の真相を調査する過程で、リーの娘や元相棒であり大物フィクサーの睦月と知り合いとなる。リーを呪い殺したと思わしき組織の存在を突き止めるのだが…。そこにはキリの武術の師匠との関連が判明する。
まずキリのキャラクターが最高だ。人を壊す能力がありながら、むやみにその力を誇示しない。実は殺されたリーもキリと同じ師匠に武術を学んでいたということが判明する。さらにはリーの弟子の上原までもがキリに絡んでくる。
調査の過程で、リーの娘やリーに恨みをもつ人物が浮かび上がってくる。どのようにしてリーを殺害したのか。超能力的なもので人を燃やす能力が本当にあるのか。アメリカまでもが人を燃やして殺害する能力を軍事利用しようと絡んでくる。
誰が敵で誰が味方なのかわからなくなるキリ。大物フィクサーである睦月の力を使い裏社会の情報を手に入れるのだが…。アメリカ側が雇った傭兵により妨害が発生する。そこでもキリは巧みな交渉術で敵味方をはっきりと分け、目的を達成しようとする。
人体発火させる能力(パイロキネシス)を手に入れたいアメリカ。ただ、パイロキネシスは存在せずその仕組みをキリが暴露する。リーを殺し、それまでのパイロキネシス騒ぎのすべてはある一人の男とその弟子により実行されていた。古くは赤屋と呼ばれた特殊な放火能力のノウハウをもつ男。
キリがすべてを看破した際の衝撃はすさまじい。それまでキリの調査に協力してきた男が実は黒幕だった。大物フィクサーすらも裏をかく巧妙なトリックとなっている。
キリのかっこよさばかりが強調されている。
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