2023.7.6 読むとほっこりとした気分になる 【ペンギンと青空スキップ】
ペンギンと青空スキップ (幻冬舎文庫) [ 小川糸 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
小川糸のブログをまとめた作品。前作「ペンギンと暮らす」で作者の生活状況がよくわかった。本作では引き続き日々の生活が描かれている。やはり食事に関するエッセイが印象深い。偶然近所で見かけたマンションの一室でひっそりと営業されているシュークリーム屋さん。このシュークリームが絶品らしい。ひとりの若い女性が経営している店で、材料がなくなると店の前に張り紙をして買い物に行く。なんとも素敵な店だ。
作者のブログに登場してくるのはありきたりなチェーン店はいっさいない。その他にはインドアな印象があったが、実は富士山へ登ったりもしている。平凡な日常かもしれないが、妙に健康的でオーガニックな食事をしている印象がある。
■ストーリー
家への帰りに道草をして見つけた美味しいシュークリーム屋さん。長年の夢だった富士登山で拝んだ朝焼け。忘年会と称して、ペンギンと出かけたお気に入りのレストラン。一歩外に出れば、素敵な出会いが待っている。毎日を楽しく丁寧に暮らすには、ときには頑張っている自分へのご褒美やお休みも大切。そんなお出かけ気分な日々を綴った日記エッセイ。
■感想
ブログなので日々のなんてことないことが描かれている。新しく出版する作品に関すること。丁度「喋々喃々」を完成させたころから「ファミリーツリー」を完成させたころまでのブログなのだろう。作品を生み出すことの苦労や、完成してからサイン会を行うなどのプロモーション活動。
作品が売れるかどうかの不安よりも、多くの人に読んでもらいたいという思いを強く感じた。処女作が大ヒットしたことで、おそらくだが2作目、3作目は強烈なプレッシャーがあったのだろうが、それを感じさせない雰囲気がある。
「食堂かたつむり」は映画化されたようだ。作者の作品の特徴として、おいしそうな食事風景がある。ブログでもそれは健在だ。海外旅行も楽しみながら、一人旅もする。作家というとインドアな印象があるが、そうではないようだ。
旦那さんの話は前作ほどは登場してこない。ミュージシャンというのはわかっているのだが…。本作では作者のオマケ的な扱いとなっている。富士登山のハードなスケジュールや富士山の頂上付近での風雨の辛さなども伝わってきた。
作者の好みがはっきりとでてくる作品だ。人気のシュークリーム屋さんではシュークリームが売り切れる場合がある。その場合は、他においしそうなスイーツがあるとそれを買う。旦那さんであるペンギンの分まで買い、ふたりでスイーツを楽しむ。
なんて平和で幸せな日常なのだろう。ブログというと読者を惹きつけるために、何かしら大きな出来事を書くなりすると思うのだが…。作者に関してはまったくエピソードを盛ることなく、そのものを描いているのだろう。
このシリーズの作品は読むとほっこりとした気分になる。
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