ペンギンと暮らす 


 2023.2.27      還暦を迎える夫婦の日記のような… 【ペンギンと暮らす】

                     
ペンギンと暮らす (幻冬舎文庫) [ 小川糸 ]
評価:3
■ヒトコト感想
作者の小川糸がデビュー前から書いていたブログというか日記をまとめた作品。旦那さんのことをペンギンと呼び、「食堂かたつむり」の作者らしく食べ物にはこだわっていることがわかる記述が多い。旦那さんが有名ミュージシャンなことに驚いた。日々のなんでもない暮らしが日記として書かれている。無農薬の野菜や食べ物の数々は、読んでいると食べたくなる。

作家としてデビューする前なので、「食堂かたつむり」が小説化されるまでもリアルに描かれている。人をおもてなす場面が多く、おいしそうな料理を作る。自然な味をベースとしているのだろう。コンビニのドーナツを食べたが舌がピリピリしたというのは、そこまで自然な食品に囲まれていたのだろう。

■ストーリー
夫の帰りを待ちながら作る〆鰺。風邪で寝込んだときに、友人が届けてくれた菜の花ご飯。元気を出したい人の為に、身体と心がポカポカになる野菜のポタージュ…。大切なお客さまの為ならば、八百屋を6軒はしごすることも厭わない。そんな著者の美味しくて愛おしい、もてなしの毎日。ベストセラー『食堂かたつむり』の著者が綴る日記エッセイ。

■感想
小川糸は旦那さんのことをペンギンと呼ぶらしい。なぜそう呼ぶのかは語られていない。何気ない日常を描く。かなり歳の差の夫婦であり、子供はいないのだろう。自然な食品が大好きで野菜の味そのものを味わうような食生活をしている。

人をよく招いてパーティのようなことをしている。酒は飲むのだが特にワインを良く飲んでいる。ごく普通の日記であり、特別な何かがあるわけではない。これは有名人でなければ成立しない作品だろう。「食堂かたつむり」の作者らしく、食に関する日記が多いのがポイントかもしれない。

小説家としてデビューする前にはどんな仕事をしていたのかはよくわからない。旦那さんがミュージシャンということで作詞のようなことをしていたのだろうか。。海外から有名アーティストがやっていきて一緒に過ごしたりするあたり、何かしら芸能に関する仕事をしているようだが…。

おもてなしの毎日というのが端的に状況を現しているのだろう。風邪で調子が悪くなることもあり、旦那さんが入院しその世話をするのが大変という日記もある。何も事前情報がなければ60歳を超えた夫婦の日記のように思えなくもない。

小説家としてデビューする前の苦悩などはほとんど描かれていない。日々の創作生活についても記述はない。なので、どのような思いで「食堂かたつむり」を作者が書いたのかはわからない。たまたま運よく王様のブランチにデビュー作品が取り上げられ、そこから大ヒットしたように思えてしまった。

やわらかな日常を過ごしていると小説作品から連想するのだが、まさに読者が想像するような日常を過ごしているので、新たな一面が見えるということはない。

期待通りの作者の日常だ。



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