万感のおもい 


 2023.2.7      万シリーズの最新エッセイ 【万感のおもい】

                     
万感のおもい 万城目学
評価:3
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■ヒトコト感想
「ザ・万字固め」に続くシリーズ。作者の軽快なエッセイが心地よい。時期的には「ヒトコブラクダ層ゼット」を書いていた時期のエッセイなのだろう。コロナの初期のエッセイもある。とりたてて何かあるわけではない。作者らしいのんびりとした、つかみどころのないエッセイが良い。一年の月を色に例えたエッセイは印象深い。特に2月はオレンジという色であり、それは死んだ父親へプレゼントしたセーターの色というのがなんとも良い。

死についてほとんど自分事としないまま死んでいった作者の父親。周りをずっこけさせるような会話の数々が良い。湿っぽい話になりがちだが、作者の語り口がそうはさせていない。その他作品を生み出す苦悩や地元大阪城への思いなどが語られている。

■ストーリー
ますます快調、『ザ・万歩計』『ザ・万遊記』『ザ・万字固め』に続く、「万」シリーズの最新作。 創作のこと、京都のこと、大阪のこと、父のこと、上原浩治のこと。 笑いあり、涙あり。縦横無尽の42編。

■感想
作者のエッセイは日常の中でのちょっとした面白要素があるのが良い。作者の作家としてのプライベート部分が知れるのも良い。仕事部屋の周りが本棚に囲まれているので、隣の少し広い部屋に引っ越したは良いが、寒すぎて結局元の部屋に引っ越したなんてのは、なかなか経験できることではない。

普通なら、別のマンションに引っ越すのだろうが…。年齢的なものもあるのだろうが、頭痛の話や尿管結石の話などもある。体のアチコチにガタがくるのはしょうがないが、普通よりも体のトラブルが多いような気がした。

作者の交友関係がわかるのが良い。作家仲間だったり、大御所の作家との交流だったり。それ以外にも有名人との対談の話などもある。独特な語り口と、有名人に対してそこまでワーキャーするタイプではないというのも良いのだろう。

特に京極夏彦と作者の交流があり、京極夏彦の家に行き作家仲間とボードゲームをやるというのは意外な展開だ。文壇バーなどに行くタイプではないので、有名作家として派手なエピソードがあるわけではない。逆に、有名人と一緒にゴルフとか行きだすと微妙な感じかもしれない。

京都大学出身で大阪城に思い入れがある。作者の初期の作品にはそれらをうかがわせる展開がある。驚きなのは「ヒトコブ~」の執筆にかなり時間をかけていたというのがうかがい知れた部分だ。湊かなえなどは多数の連載を同時に抱えたりしているのだが、作者はそれができないらしい。

小説家になりたくて、苦労して作家になったとしても、作品を生み出すのはとても苦しいらしい。作品が映画化されたりと、かなり売れっ子作家なイメージがあるのだが、そこまでセレブな感じがしないのは作者の性格的なものなのだろうか。

最新の作者の雰囲気を知ることができる作品だ。



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