2009.3.2 ガイ・リッチー作品の本流 【ロックンローラ】 HOME
評価:3
■ヒトコト感想
これこそガイ・リッチー作品の本流というのだろうか。前回見たリボルバーと比べると明らかに原点回帰している。どちらかといえば初期のロックストック~に近いかもしれない。そのため、古くからのファンは納得の面白さだろう。独特なテンポと個性的なキャラクターたち。前ふりが長く、途中でだれてくるかもしれないが、ラストではそれらを一気に清算してくれる。この爽快感は久しぶりかもしれない。ただ、全盛期のスピード感を取り戻したかというと…。ちょっとものたりないかもしれない。ガイ・リッチー作品としてみれば、まさに誰もが期待するできかもしれない。しかし、ファンは期待が大きい分、見る目も厳しくなってくるのだろう。しかし、及第点以上であることは確かだ。
■ストーリー
ロシア人マフィア一味が不正な土地取引に目をつけ、それを横取りするために数百万ドルという大金をつぎ込んだことで、ロンドン中の闇社会が動き出す。マフィアのボスからセクシーな会計士、汚職警官、ツキに見放されたコソ泥、そして伝説のロッカーまでが、互いに共謀したり衝突しながら、手早くリッチになろうと奔走する。
■感想
個性豊かなキャラクターが多数登場し、複雑に絡み合う。キャラクターをしっかり把握しないと、誰が誰で、どんな関係があるのかわからなくなる。必然的に最初から集中して見ないと小ネタが楽しめないようになっている。人間関係だけでなく、利害関係とそのキャラクターの特徴、それらをすべて把握してはじめて本作の面白さの真髄を理解できるのだろう。誰がホモキャラで、誰が権力を握り、誰と誰が敵対しながらも協力関係にあるのか。いくつかのポイントとなるモノや人物が登場し、それらがアチコチ移動する意味も理解しなければならない。こう書くとかなり難しい映画のようだが、そうではない。普通に見ていれば自然に全てが理解できてくるのだ。
本作を見て、誰に感情移入するのだろうか。結局、何が言いたいのかわからないというのが、ガイ・リッチー作品に慣れていない人がよく言う言葉だ。本作は何が言いたいかなんて考えず、ただひたすら物語の流れとその仕掛けと、ちょっとしたユーモアを楽しむ作品だ。そのときに、誰かに感情移入できれば、より楽しめることだろう。マフィアのボスであったり、チンピラであってもよい。自分が応援しているキャラが最後まで生き残り、最後に平気な顔してフラフラ歩いているシーンなどを見て楽しむのが正しい楽しみ方だろう。
かなりガイ・リッチーらしい作品である本作。全盛期のスナッチほどのパワーとスピード感はないが、それでも他の作品にはない独特なテンポと雰囲気はある。本作で完全復活だろうか。悲しいことに本作が上映されているのはごく限られた映画館でしかない。それなりに高い評価はうけていると思うが、まだまだ一般受けはしないのだろう。この手のギャングモノ以外も見て見たい気もするが、恐らく駄作になるのは確実なので、作らないのだろう。好きな監督なだけに、これからどんどんメジャーな作品を撮っていってもらいたいものだ。
久しぶりのガイ・リッチー節はとても心地よかった。
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