2008.3.25 現代的なホラー 【パルス】
評価:3
■ヒトコト感想
日本の回路をリメイクした作品らしいが、回路のエッセンスを盛り込みながら、リング風な手法も用いている。ジャパニーズホラーの良い部分を参考にしながら、現代的なテーマをモチーフにし、新しさも表現している。回路の中でとても印象的な、謎の物体がよろける場面や、ワンショットでおさえた自殺の場面。これらは本作でもしっかりと再現されている。ただ、全体的な雰囲気の怖さはオリジナルには及ばないだろう。日本独特の恐ろしさの表現方法は、いくらハリウッドが真似ようとも越えられないような気がする。ただ、本作はそれに近づけようと必死になり、あの名作であるリングの手法を取り入れながら、どうにか健闘しているといったような感じか。
■ストーリー
『そこ』には決して触れてはならない―。学生ハッカー、ジョシュがアクセスしたのはそういう場所だった。彼のハッキングにより“この世界にあふれ出たモノたち”。その存在を知ってしまったジョシュは、自らの命を絶つ。彼の死後、恋人のマティは彼の死に疑念を抱き真相を追った。その手がかりは、残されたPCに、インターネットの中にあった。核心に近づく彼女たちの前で超常的な現象が起き始める。やがて皆が気づき始めた時は、人々が消え、街は廃墟となり始めていた。
■感想
ハリウッドでホラーと言えば、血が飛び散るスプラッタームービーだろう。長い間その流れをくんできたのだが、ここへきて少し変わってきた。それはジャパニーズホラーの台頭だろう。日本では昔からこの手の作品が多かったのだが、特に最近は日本の作品をリメイクするといった感じで雰囲気重視のホラーをハリウッドが作り始めた。リングに始まり、仄暗い~やジュオンなど、どれも良い線をいっているのだが、オリジナルには及ばない。本作も回路の不可思議な恐怖を表現するにはちょっと物足りなかった。
本作の特徴としては、回路だけでなく、様々なジャパニーズホラーを参考にしていることがあちこちに伺える。リング風な映像だったり、貞子のパクリのような描写であったり、あちこちに現れ、もはや定番となった怪しい音と映像というのもしっかりと取り入れられている。そして、本作のもう一つの特徴であるのは現代的なものをモチーフとしているところだ。ネット社会の現代に警告を与えるように、うまくホラーとネット社会全盛の今を融合させている。ネットワークに繋がらない世界はないというのをうまく逆手にとっているような感じだ。
シーンと静まり返った部屋に突如として現れる黒い影、そして、ゆっくりと近づきながら片足を躓き、体が拠れる。この場面を見たとき鳥肌がたったのだが、リメイクである本作では、その感覚はなかった。なぜだろうか。身近であるかないかの違いはあるにせよ、ほぼ似通った映像であっても、全体の雰囲気一つで大きく見るものの印象を変えるということなのだろう。それは、カット割なしに表現した自殺シーンでも同じことが言える。迫力は本作の方があるのだが、怖さはやはりオリジナルに分がある。
悪くは無いホラーだが、オリジナルと比較してしまうと、どうしても見劣りしてしまう。
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