2007.6.3 熱くなる何かが足りない 【ピーナッツ】
評価:3
■ヒトコト感想
弱小野球チームが強いチームに勝つ。目的は商店街を守るため。これって良くある熱血ものの一つだろう。スウィングガールズやフラガール。大げさに言えば逆境ナインだってそうだ。それらの特徴は目的のために駄目チームが協力し、最後に目的を達成する暑くるしいまでの熱血と感動を味わうためだ。本作はその熱血部分と感動部分が弱い。特に主役級である秋吉がそのキャラクターのせいなのだろうか、どこかクールで熱さを感じない。結果が出るまでの苦労や熱さが少ないため、その後の感動も味わうことができない。
■ストーリー
草野球チーム「藤沢ピーナッツ」で伝説のサードと謳われ、今はスポーツライターとして活躍中の秋吉(内村光良)が久々に町へ帰ってきた。現在のチームはメンバーが9人にも満たない状態。しかも商店街や野球場は再開発の候補地となって消えてしまう寸前なのであった…。秋吉はチームを復活させ、再開発を計画している会社のチームと対戦することになるが…。
■感想
全てのキャラクターに熱さがたりない。お笑い芸人たちの演技力不足だとは思わない。合間に登場するちょっとしたコネタ的な笑いや普通の演技は十分見るに値すると思う。しかし、決定的に足りないのは叫ぶような熱さや必死さだ。商店街の生き死にがかかっている試合を控え熱さが足りなければ、致命的な困難もおとづれない。なんだか平坦のまま試合に臨んでいるように感じた。
極端に言えば逆境ナインの方が熱さや感動を味わえる。際立って漫画的だが、ありえないような困難に立ち向かい、決してあきらめず最後は目的を達成するために死に物狂いになる。そんな熱さがこのピーナッツには足りないように感じた。それは恐らく登場するキャラクターの設定がそうさせているのだろう。どうせなら監督や三村あたりが、もっとはじけて熱くなってもよかったのではないだろうか。
キャラの個性的にも終盤で救世主が現れるあたり、定番どおりだが申し分ない。最後までぼろぼろになりながら戦う姿も悪くない。しかし、境遇がその感動を半減させている。商店街がなくなっても町が活性化する。秋吉に至ってはまったく部外者だ。なんだか試合に負けても保険があるようで、必死さを共有することができなかった。
お笑い芸人の映画だからといって偏見は持たないが、登場人物たちに必死さが感じられなかったのは、ちょこちょこはさまれるお笑い的なコネタのせいもあったのかもしれない。完全なギャグとしてスルーできる逆境ナインとはまた違った中途半端さがあるかもしれない。
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