フラガール


2007.3.25 松雪泰子のはじけっぷり 【フラガール】

                     

評価:3

■ヒトコト感想
素人が協力し苦労して最後は成功する。ある意味王道のパターンだろう。炭鉱娘たちが次第にきらびやかで艶やかに踊りだす。その過程はさまざまな困難や苦労があるが、最後には皆で協力し目標を達成する。もちろん本作も、その感動は大きい。しかし本作が優れているのはハワイアンセンターに反対する炭鉱の人々と松雪泰子扮するダンス教師の対立だろう。方言丸出しの炭鉱夫たちといがみ合いながらも、最後にはダンサーたちと心を通わせハワイアンセンターを成功に導く。松雪泰子のはじけっぷりが一段と本作をすばらしいものにしている。

■ストーリー

昭和40年、福島県いわき市は炭鉱の町だったが、石炭から石油へエネルギー源が変わり、閉山が続いていた。その危機に炭鉱会社が目をつけたのは観光。いわき市にレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」と作ろうとする。目玉はフラダンスのステージだったが、ダンサー募集に集まったのは素人の娘たち。ダンス教師として東京からプロのダンサーを呼ぶが、彼女は田舎をバカにして教える気がない。しかし、次第に娘たちの一途さに心を動かされる。

■感想
事態の深刻さが物語りの盛り上がりに一役かっている。次々と閉山していく炭鉱町で、生活の基盤を失いかけた人々には何よりもまず生活をどうにかしたいという気持ちが強いはずだ。そんな中、突如として現れた部外者に対して辛く当たるのは当然のことで、まして自分の娘や奥さんがダンサーになると言い出せば強い反発心が芽生えるのも当然だろう。強烈な排他的雰囲気。まず、この雰囲気が事態の困難さを表現するのに役立っている。

豊川悦司や蒼井優がすばらしいのはもちろんだが、やはりなんといっても松雪泰子だろう。ダンス教師としてはありえないほどの激しい気性と投げやりな態度。これがどのようにしてうち解けていくのか、何をきっかけとして仲間意識が芽生えるのか。必死でダンスを習得しようとする田舎娘たちの姿と、少しづつ変わっていく周りの雰囲気で、雪解けのようにゆっくりと表情までもが柔らかくなっていく。このキャラクターでなければこれほど印象に残る作品にはなっていないだろう。

苦難や苦労、そして泣ける場面や笑える場面など、エンターティンメント性に溢れている。個性的なキャラクターもそうだが、それぞれの
登場人物たちに一本芯が通っているので心地よく感じるのだろう。炭鉱夫であっても、ダンサーであっても目的は同じ。一つのことに集中し、最後には敵味方関係なく、大騒ぎで感動のフィナーレを迎える。最後はフラダンスという、決して激しい絵ではないはずなのに、心の奥底から鳥肌のようなものがたってきた。これはスクール・オブ・ロックの時に感じたものと同じかもしれない。

ここ最近のこの手の作品では一番かもしれない。



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