ハプニング


2008.7.27 この映画がハプニングだ 【ハプニング】 HOME

                     

評価:3

■ヒトコト感想
M・ナイトシャラマン監督作品はいくつかあるが、この監督はピークを予告にもってくる癖があるようだ。はっきり言えば、予告はものすごく興味を引かれる。他のどの作品の予告よりも引き付られるものがある。しかし、それだけだ。予告を引きづるように冒頭の十分間は強烈なインパクトがある。一度見始めると目を離すことができない。そして、その勢いを惰性で引っ張りながら最後まで流れていく。勢いが途中で止まってしまうともう終わりだ。盛り上げポイントは他に一切存在しない。当然最後にはオチもなにも無く、ただ物語りが終わるというだけ。せめてラストに何かしらの答えを示してくれればまだ救いがあったのだが、それもなかった。

■ストーリー

ある日突然、アメリカ全土からミツバチが姿を消したのを皮切りに、街で人が次々と倒れていく異常現象が始まる。連絡も取れなくなり、情報はだんだん少なくなっていく。原因も分からないまま世界はパニック状態に陥り、“何か”に人々は追い詰められていく…。

■感想
アイ・アム・レジェンドであったりミストであったり、絶望的な雰囲気のなか、希望をつなぐ終わり方というのもある。流れ的には本作はそれらに近い部類に入るのだろう。ただ、前二作と決定的に違うのは、はっきりとした答えを出さないということだ。最初にインパクトのある現象を示し、そこから段々とその詳細がわかってくる。そして、謎が解けたかと思いきやそうではない。最後には自然とその現象がおさまり、いつの間にか平穏な日常へと戻っている。結局なんだったのだろうか?まさに夢オチに近い、観衆にありったけの疑問を投げかけてたまま終わっている。

監督の、導入部で人を引き付ける手腕は素晴らしいと思う。まったく想像もつかない不可思議な現象。人がパタパタと死んでいくさま。単純に人が次々と自殺していくだけならば、違った表現方法もできるのだが監督はあえて、公園内で人が立ちつくし、次々と順番に倒れていくような見せ方をしてくる。このあたりの表現方法にはしびれてしまう。まさに監督の力量が問われる場面だろう。これほどすばらしい演出ができていながら、ストーリーはまさに投げっぱなしだ。この際だから、監督と脚本は分けたほうが良いのではないだろうか。

本作の評価には様々なものがあるにせよ。不評の方が多いのだろう。人によっては騙されたと思うかもしれない。シックスセンス以来まともにヒットをだしていない監督だが、才能はあると思う。なんとなくだが才能の無駄遣いにも感じてしまう。本作のように一発で人を引き付けるようなインパクトのある作品を撮れる監督はそういないと思う。できることなら、これに懲りずに違った形で作品をつくってほしいものだ。もしかしたら、世間的にこの手の方式を求められているから撮り続けているのだろうか?そのあたりは良くわからない。

本作に関して言えば、ネタばれも何もない。ネタ自体ほとんどあってないようなものだからだ。ただ、これから映画を見に行く人には、オチがないというのは言わない方が良いだろう。その方が断然楽しめるからだ。



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