ようこそ、ちきゅう食堂へ 


 2026.2.12      食べることは生きることだ 【ようこそ、ちきゅう食堂へ】


                     
ようこそ、ちきゅう食堂へ 小川糸
評価:2.5
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■ヒトコト感想
小川糸のエッセイ集。写真付きで世界各地での食事やそこで出会った人たちについて語っている。旅行エッセイという雰囲気もあるのだが、ただの旅行ではない、普通では経験できないような場所でのエッセイとなっている。特に印象的なのは、モンゴルでの生活かもしれない。

モンゴル人の生活の基盤は羊や馬にあり、家畜と共に移動して生活する。死んだ羊は決して食べないだとか、馬の肉が本当は好きなのだが、めったなことでは馬の肉は食べないなど。自給自足の生活がメインではあるが、病気になると首都のウランバートルに行く必要がある。その際にどうやって資金を作るかというと…。自然の中での自給自足はあこがれるのだが病気になった場合の問題も考える必要があるのだろう。

■ストーリー
小川糸が全国各地の「おいしいもの」を作る生産者や料理人を訪ね歩く、食と大地がテーマのエッセイ。石垣島の辺銀食堂、禅寺の精進料理など、心を込めて生み出される食と、それに触れてハッピーになる人々の姿を描く、温かい紀行文となってる。

■感想
能登半島の鳥居醤油店のエッセイは強烈だ。いかにも作者が好きそうな丁寧なつくりのお店だ。恐らくだが2007年の地震の際には、その被害が小さかったようで、問題なく営業できていたようだ。昔ながらの木の樽でじっくりと熟成した醤油。

こだわりが強いだけに、唯一無二の感じがあるのだろう。代々女性が継いできた稼業というのも特徴かもしれない。そんな醤油店が2024年の震災でどのような被害を受けたのか。調べてみたところ、仮設の店舗で営業しているようなので、樽は無事だということなのだろう。

基本の一皿や素材の味を大事にするパターンが作者に好まれるのはいつもの通りだ。「食堂かたつむり」での食の描き方からわかるように、かなり素材の味を大事にしている。作者のその他のエッセイを読んでいるとベルリンなどでも、日本食や出汁の味を大事にしているというのがわかる。

こだわりのバームクーヘンのエッセイは強烈だ。かなり素材にこだわっており、卵を90個割る場合であっても、一つ一つ確認し、においがきつい卵は除外している。とんでもなく時間のかかる作業だが、重要なことなので手を抜けないらしい。

無農薬のリンゴ畑についてのエッセイもある。「奇跡のリンゴ」を見たことがあるので、このあたりは臨場感をもって楽しめた。無農薬・無肥料でのリンゴ栽培。成功したから良いものの…。この時のエッセイでは木村さん自身があちこちに講演会に呼ばれるほどの人気者になっていたようだ。

映画化されるくらいなので当然のことなのだろうが…。本作を読むと、あらためて食べることは生きることだと思い知らされる。全ての人間は何かしら命をもらって生きている。

作者らしいエッセイ集だ。



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