奇跡のリンゴ


 2016.11.14      とんでもない執念により作られたリンゴ 【奇跡のリンゴ】

                     


■ヒトコト感想
青森のリンゴ農家を描いた作品。農薬でアレルギーをしめす妻のためを思い、無農薬のリンゴを作ることに心血を注いだ木村の物語。内容はむちゃくちゃシリアスだ。無農薬栽培が何年もうまくいかず、無収入が続き、子供たちにまでひもじい思いをさせる。それでも、無農薬栽培を止めようとはしない。強烈なまでの執念と家族の協力があってこその物語だ。

主演を阿部サダヲが演じているので、ちょっとしたタイミングでコメディ風になっている。ただ、周りの農家から疎まれはじめ、子供のことを考えろ!と言われる場面はかなり心に響く。子供が、自分が貧乏だと知り、親に気を使うことほど悲しいことはない。結末が想定できたとしても、涙を誘われる場面はある。

■ストーリー
1975年、青森県弘前。リンゴ農家の木村秋則は、妻・美栄子の身体を心配していた。美栄子は年に十数回も散布する農薬の影響で皮膚がかぶれ、数日寝込むこともあったのだ。そんな妻を想い、秋則は無農薬によるリンゴ栽培を決意する。

しかし、それは“神の領域"といわれるほど“絶対不可能"な栽培方法。数えきれない失敗を重ね、周囲の反対にあい、妻や3人の娘たちも十分な食事にありつけない極貧の生活を強いられる日々。それでも諦めなかった秋則は、11年にわたる想像を絶する苦闘と絶望の果てに常識を覆すある“真実"を発見する―。

■感想
無農薬のリンゴを作ることをひたすら目指し続けた木村秋則の物語。妻が農薬アレルギーのため、軽い気持ちで始めた無農薬リンゴ栽培。それがあらゆる手段を講じてもうまくいかない。段々とエスカレートしていき、ついにはすべての畑を無農薬にしてしまう。

当然ながらリンゴは生らず、収入の手段がなくなる。家は貧乏となり、周りのリンゴ農家からは疎まれ始める。そして、家族のことを考えて農薬を使えと説得されてしまう。そこで秋則は自分が無農薬を止めたら、人類が害虫に負けたとまで言う。

秋則のすさまじい執念が続くのは中盤まで。そこからは、袋小路に入り込みどうにもできなくなる。今更、農薬を使ったところでうまくいかない。追い込まれた秋則は離婚を考え、自殺寸前にまで追い込まれることになる。

ここで強烈なのは、お祭りで子供がお面を欲しそうにしている場面だ。秋則が買ってやろうとするのだが、子供はかたくなに拒否する。それは、子供ながらに家が貧乏なことを知っているからだ。子供に金のことで気を使わせるとなると、親としては強烈に心苦しくなる。

ラストの流れはある程度想定どおりなのだが…。それまでの辛く厳しい状況がすさまじいため、無農薬栽培の手がかりを見つけ、リンゴが花を咲かせた時のインパクトはすさまじい。無農薬に否定的で秋則は頭がおかしくなったと噂していた村人たちも、いつの間にか秋則の成功を一緒に大喜びするようになる。

ここまで来ると、すぐに無農薬リンゴ栽培がうまくいくかと思われたのだが…。なんとそこから十年経ってやっと立派なリンゴができたらしい。

とんでもない執念により作られたリンゴだとわかる。



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