夜刑事 [ 大沢在昌 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
ヴァンパイアウィルスに感染した岬田。感染するとヴァンパイアのように光に弱くなり、夜しか活動できなくなる。光に火傷するなどは、まさにそのままヴァンパイアだ。感染者の血が体に入ることでヴァンパイアウィルスに感染する。なんだか、ありきたりな展開すぎる。刑事が感染しており、犯人側にも感染者がいる。感染者コミュニティが作られており、非感染者は感染者と対立する者もいる。
コロナよりも血で媒介するというのはエイズに近いのかもしれない。ヴァンパイアウィルスの特効薬を開発するための科学者を探し出すための部分もある。「新宿鮫」のようにシリーズ化されるようだが…。ヴァンパイアの状態になるというのは使い古された展開に思えてしまう。
■ストーリー
ヴァンパイアウイルスと呼ばれる未知のウイルスに感染し、夜しか活動できなくなった刑事の岬田は、その代償として、極端に研ぎ澄まされた五感を手に入れた。岬田は、ウイルスに感染した犯罪者たち、そして感染者を排除しようとする活動家たちの思惑に巻き込まれながらも特命任務にあたり、ウイルスを感染させた元恋人の明林を捜そうとするーー。
■感想
大沢在昌の新しいシリーズ?ヴァンパイアウィルスに感染した刑事の岬田がウィルス絡みの容疑者たちの事件を追う。ポイントなのは岬田は付き合っていた女性からウィルスを注射され感染したということだ。犯罪者に多いウィルス感染者。
そんな中で刑事の感染者は珍しく、警察組織内部でも煙たがられる存在となっている。ヴァンパイアウィルスに感染すると、太陽の光で火傷してしまう代わりに、暗闇でも目が効き、聴力もUPする。不死身になるわけではないので、感染者でも撃たれたら死んでしまう。
感染者のコミュニティと非感染者のコミュニティがある。対立しており、極度に感染者を敵視する者もいる。また、同じ感染者だとしても犯罪者同士は仲が良いのだが、感染者の刑事は毛嫌いされる場合があるらしい。
ある意味、特殊能力をもつ感染者。犯罪者だけがその能力のうまみを享受できるところが、刑事に入り込まれるとやっかいだと考えるのだろう。岬田は同じ感染者に命を狙われることになる。このあたり、明確に敵味方がはっきりしていないのが物語のポイントかもしれない。
ラストは激しい銃撃戦となる。ヴァンパイアウィルスという部分が特殊なだけで、あとはよくあるハードボイルド風な物語だ。コロナ渦やそのあたりが関係しているのかと思いきや…。夜刑事として岬田が存在し、中国人のマコが常に岬田の周りで怪しい動きをする。
まだ、作中ではヴァンパイアウィルスの特効薬は開発されていない。世界的に問題となりつつあり、ドイツではワクチンも開発されている。今後は、ヴァンパイアウィルスを治す薬が重要となってくるのだろう。
ヴァンパイアウィルスの謎は深まるばかりだ。