spring 


 2026.3.18      同世代のバレエの天才たち 【spring】


                     
spring (単行本) [ 恩田陸 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
天才バレエダンサーの萬春を描いた物語。複数の視点で春を語っているのが特徴だ。1章は同じバレエのワークショップに参加した深津純の目線で春を見ている。自分と同年代にすさまじい才能をもつ人物がいたとしたら、人はどう考えるのか。純自身にも春に負けない才能があるのがポイントだろう。

2章は春の叔父である稔視点の物語だ。春の才能に目を付けた者たち。そして、春の才能は幼いころからすさまじいということがこれでもかと描かれている。3章では2章ですでに出会っていた七瀬が作曲家として春へ曲を提供する物語となっている。周りから見た春は間違いなく天才だった。ラストの4章ではそんな春自身の思いが語られている。

■ストーリー
自らの名に無数の季節を抱く無二の舞踊家にして振付家の萬春(よろず・はる)。少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。彼は求める。舞台の神を。憎しみと錯覚するほどに。一人の天才をめぐる傑作長編小説。

■感想
1章で、才能にあふれたバレエダンサーの物語というのがわかる。若く優秀なダンサーだけが集められたワークショップの場で、さらにひときわ目を引く存在となっている春。それを同じワークショップでバレエを学ぶ純の目線で語られている。

純が優秀なことは間違いない。そこから春が優秀なダンサーであり、さらには振付師としても素晴らしいことが語られる。圧倒的な才能があり、春にしか出せない特殊な魅力があると語られる。同じ作者の「蜜蜂と遠雷」と同じく複数の天才を描くのかと思ったが、そうではなかった。

2章では、幼少期のバレエを始める前の春から描かれている。叔父の立場で春の成長を見るという感じだ。バレエという天職に出合う瞬間。春が瞬く間にバレエに興味をもち、そこから優秀なバレエ教師からスカウトされる。最終的にはドイツに留学することになるのだが…。

春のライバルとして幼少期から切磋琢磨した才能の原石たちも描かれている。そこではのちに春のバレエに曲を提供することになる七瀬も登場してくる。春という存在が周りのレベルを上げつつも、他人の夢をあきらめさせているのがポイントだ。

3章は七瀬を中心に春の状況が描かれている。七瀬自身にもバレエの才能があったのだが、春と出会ったことで作曲家の道に行ったのだろうか?最終的には春に対して曲を提供するまで有名となり、その能力をいかんなく発揮している。七瀬がそのまま春と同じようにバレエダンサーとなっていたらどうなっていたのか。

これまで他者から見た春の姿だったが、ラストの4章では春自身の思いが語られている。春がバイセクシャルであることがここで判明する。

「蜜蜂と遠雷」はピアノだったが、本作はバレエの天才たちが描かれている。



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