心の窓 


 2025.1.11      すんなりと写真を撮らせる作者の雰囲気 【心の窓】


                     
心の窓 [ 沢木耕太郎 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
「旅の窓」から続く作品。作者が撮った一枚の写真と、その時の感情を文章にする。様々な国を旅した作者だからこそ、普通の人とは違った感覚で物事を見ている。特に写真から見る印象と、作者の文書は異なるパターンがある。毎回驚くのだが、海外に行き、地元の人に対して写真を撮らせてくれとお願いするのがスムーズにできるのはすごい。自分が逆の立場であったら、知らない海外の人から写真を撮らせてくれと言われたら、このご時世、SNSなどでさらされることを気にして拒否するかもしれない。

作者の雰囲気もあるのだろう。地元の人たちは気兼ねなく写真を撮らせている。ただ、真正面から笑顔を向けている写真ではなく、何かをやっている途中の写真などが多い。

■ストーリー
私にとってカメラを持つことの最大の効用は、世界に「つまらない場所」というのが存在しなくなったことであるーー。ブッダガヤで出会った「瞳の少女」、ヘルシンキで胸を熱くした幼き兄妹の姿、夜のコルドバで心を騒がせた「路地裏の哀愁」……。沢木耕太郎が旅先で撮った八十一枚の写真と、その情景から想起する人生の機微を描いた短いエッセイ。大人気フォトエッセイ『旅の窓』、待望の続編。

■感想
カメラを持ち世界各国で写真を撮る。何か美しい景色を撮るのではなく、主に人を取る。印象的なのはスペインのバルで居眠りをしているおじさんの写真だ。店の中に入ると写真を撮り始める作者。それを見た客たちが居眠りしている男を写せとはやし立てる。

そして、写真を撮ると男は目を覚まし、自分の写真を見て大喜びする。そもそもが店の中であちこち写真を撮る怪しい東洋人がいたら、何かしら危険視しないのだろうか。眠っている姿を勝手に撮られても怒らないのは、その場の雰囲気も大きいのだろう。

遠くから人物を撮るパターンもある。砂浜を歩く水着の母親と娘。その二人の詳細はわからないが、明らかに親子とわかるようにそっくりな歩き方をしている。写真では歩き方まではわからないが、その雰囲気が伝わってきた。

他にもカフェに座る美女を隠し撮りのようにして撮影している場面もある。盗撮に近いのかもしれないが、そうなるとどうしても対象を美しく撮影することができないらしい。それはそうだろう。撮る側にうしろめたさがあれば、それは写真にあらわれるはずだ。

160ページの作品ではあるが、半分写真なので文章量は少ない。サラリと読み終えることができるが、妙に印象に残る写真もある。母親に叱られた娘の写真などは、作者がその姿を写真におさめていると気づくと母親の方が周りの目を気にして、少し怒りのトーンを下げたりするのは妙に情景が思い浮かんでしまった。

ただ、どうしても思うのはあちこち人を含めて写真を撮り続けると、拒否感を示す人がいるのでは?と思えて仕方がなかった。何かトラブルなどはなかったのだろうか。。。

恐らくは続編もあることだろう。



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