アンテナ 


 2026.5.21      突然行方不明となった妹 【アンテナ】


                     
【中古】アンテナ /幻冬舎/田口ランディ(文庫)
評価:3
田口ランディおすすめランキング
■ヒトコト感想
幼少期に神隠しのように突然妹が行方不明となった祐一郎の物語。妹の真利江が消えたことにより、家族の人生は壊れていく。「コンセント」「モザイク」に続く3部作。母親は新興宗教にはまり、父親は死ぬ、そして弟は精神を病んで入退院を繰り返す。真利江は生きているのか。あの夜に何が起きたのか。序盤は不可解ミステリー的な流れがあり、同居していた叔父が何かしら鍵を握ると思われていた。

ただ、その叔父も周りからの疑いの目に苦しみ、自殺してしまう。スピリチュアルな世界にだんだんと入り込んでいく。祐一郎はSM女王のナオミと出会い、そして変わっていく。オカルトな雰囲気があり、妹の失踪が最後まで祐一郎の精神を支配する。終盤はオカルトな雰囲気が強くなっている。

■ストーリー
大学院生・祐一郎の妹は、十五年前のある朝、忽然と消えた。必死にその行方を探した家族も、七年前の父の死から、母は新興宗教にのめり込み、弟は発狂していく。なんとか家族を支えようとする祐一郎だが、SMの女王様ナオミと出会ったことで封印してきた性欲が決壊し、急速に何かが変容し始めていた……。

■感想
幼少期に真利江が突然消えたことにより、それまでの平穏な家族が崩壊していく。失踪してしばらくは真利江は生きており、どこかにいるということになっている。ただ、ひたすら真利江の捜索を続けることに疲れてしまう家族。

TVへ出演したり、霊能者にみてもらったり。父親が真利江の捜索の終了を宣言した後、しらばくしたら死んでしまう。まるで、真利江を諦めたことが父親の生命力を奪ったような感じかもしれない。母親は宗教にはまったまま抜け出せず、弟が真利江の生まれ変わりだと思い込んだりもする。

家族がおかしくなっていくのをただ見ているだけしかできない祐一郎。非常にきつい状態であることは間違いない。精神を病んだ弟が病院から退院してくる。母親が錯乱状態にある中で、やっかいな弟までも帰ってくるとなると…。

真利江と弟はアンテナを通じて連絡をとることができるらしい。このあたり、作者の作品で良く登場してくる人間のOSの話や、スピリチュアルに特化した部分なのかもしれない。あっさりと真利江は死んでいると早めに分かった方が、その後の家族の人生にもよかったのかもしれない。

祐一郎は物語の後半で、真利江がいなくなった夜のことを思い出す。この部分の記述だけを読むと、結局は叔父が何かカギを握っているようなのだが…。ナオミと出会い、性に目覚めた祐一郎は大きく変わっていく。ある意味、スピリチュアルの世界で祐一郎が真利江を殺すことで、家族が開放されていく。

特に、弟に関しては精神が正常に戻っている。結局は、真利江がどのようにして消えたのかや、生きているのか死んでいるのかはわからないまま終わっている。

スピリチュアルな雰囲気が強い作品だ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp