おくることば 


 2023.10.17      コロナ渦での学生たちの変化 【おくることば】

                     
おくることば (新潮文庫) [ 重松清 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
重松清が早稲田のゼミの講師として授業を受け持った内容と、コロナ渦での学生たちの困難を描いた作品が含まれている。重松清が講師として早稲田の生徒たちに授業をする。コロナ渦での授業なのでリモートがメインとなる。それらについての苦しみなどが描かれている。確かに、コロナ渦の大学生は不幸かもしれない。

学生同士が対面で話をできる状態ではない。友達もできない。サークル活動も自粛。ゼミ仲間との飲み会なども開かれない。コロナ渦とコロナ渦以前では明らかに大学生の充実度は変わってくるのだろう。その他、小学生が感じるマスクに対する思い。マスク警察ではないのだが、マスクをする意味と他者への感染リスクをどこまで気にするかが描かれている。

■ストーリー
小学六年生のユウたちは、先生から厳守するよう言われたルールを体育館裏でこっそり破る――。中学校入学式までの忘れられない日々を描いた書下ろし作品「反抗期」ほか、宇宙人への自己紹介について頭を悩ませる「星野先生の宿題」などの小説、早稲田大学のゼミでの思いをつづった「夜明けまえに目がさめて」など、「作家」であり「せんせい」である重松清から、今を生きる君たちにおくる6篇。

■感想
早稲田でゼミを受け持ち、生徒たちに自分の思いを語る。作者が早稲田出身というのは知っていた。学生に対して様々な思いを語る。強烈なのはコロナ渦真っ只中なので、そんな中でどのような授業ができるのか。

学生たちからすると、大学生のポジティブで楽しい生活から、コロナ渦のためにリモートばかりで顔を合わせることができない苦悩。人生において一番楽しい時期かもしれないが大学生時期が、まったくなくなるのは不運でしかない。大学生の楽しさを味合わせてあげたい。

「反抗期」は小学生たちのコロナ渦での苦悩が描かれている。マスクをすることに対する反発。テレビなどでは海外の映像が流れるが、海外ではマスクはまったくつけていない。にもかかわらず日本ではいまだにマスクが必須となる。

小学生男子は度胸試しとして、あえてマスクを外したりもする。マスクをするのは自分が感染しないよりも、他者に感染させないため。小学生同士の度胸試しに参加しない者には実は理由があった。家に高齢者が住んでいたら、それだけで感染させないためにより気を付ける必要がある。

「星野先生の宿題」は、宇宙人に対してメッセージを送る場合、どんなメッセージを送るのかを小学生たちが議論する。笑顔を送るのか、悲しい顔を送るのか。小学生ならでわの考えと、それを先生がうまくまとめている。未知の生物が地球を訪ねる際に、どのような印象をもつのか。

丁度未知の生命体との交信として「三体」を読んだばかりだが、この宇宙に対するメッセージの送るトーンの違いは面白い。小学生たちは未知の生物に対して希望しかない。それが本来の思いなのだろう。

重松清らしい作品だ。



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