三体 


 2023.10.11      スケールがでかすぎるSF物語 【三体】

                     
三体 [ 劉慈欣 ]
評価:3.5

■ヒトコト感想
強烈な作品だ。序盤は科学者たちがこの世に物理学が成立しないことに対しての絶望を感じて自殺するという流れがある。研究者の汪淼は自分が写真を撮った時だけ、フィルムに謎の数字が並ぶのを確認した。他の者が撮影しても何もでない。自分の目がおかしくなったのかと思うのだが…。

オカルトチックな流れがメインとなるが、それらすべては科学者の研究意欲をそぐために仕掛けられたことだった。はるか何光年も離れた星に知的生命体がいた。そこにアクセスした者は、高度な文明を持つエイリアンに地球を侵略してほしいと考える。遥か彼方の知的生命体をイメージさせるためのゲーム「三体」が強烈だ。スケールがでかすぎて、クラクラしてくる作品だ。

■ストーリー
物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。

ナノテク素材の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体〈科学フロンティア〉への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象〈ゴースト・カウントダウン〉が襲う。そして汪淼が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは。

■感想
地球以外にも知的生命体は存在する。それは当然のことだが、地球から離れすぎているためにアクセスすることができない。それがふとしたきっかけで、外部の知的生命体とアクセスできたとしたらどうなるのか。その知的生命体が住む星は三つの太陽に囲まれた過酷な土地だった。

そこに比べると地球は楽園なので、エイリアンは地球を目指すことになるのだが…。最初にアクセスし相手から反応が返ってくるまで8年かかる。それだけの距離が離れているのだが、それでも三体からすると近いという感覚なのが恐ろしい。

地球では450年後にエイリアンがやってくることがわかってしまう。地球人の中で知的生命体への侵略を求める者たちによる裏切り。とんでもない長い時間に感じるが、それは三体からすると歴史の一部でしかない。

450年という時間を地球に与えてしまうと、その間に技術が進歩し三体が侵略に訪れた際には、技術的に三体を超える可能性がある。そのため、三体は地球人の技術の進歩を遅らせるために様々な仕掛けを用意する。とんでもなくスケールのでかい作品だ。

本作ではまだ三体の目的がはっきりし、地球へ近づいていることがわかる程度だ。450年後の侵略に備えて、地球を守りたい者たちは、まず裏切り者を一掃しようとする。裏切り者たちの拠点である巨大戦艦に対してナノテクノロジーのごく細のワイヤーを用意し、それで戦艦と中の人間ごと、50センチ単位でスライスするというのはすさまじい。

今後、続いていく流れで三体は地球にどのように進行していくのか。そして三体に対抗するための技術力を進歩させることができるのか。

続きを読むのが楽しみで仕方がない。



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