岸辺露伴は倒れない 短編小説集 (JUMP jBOOKS 岸辺露伴 短編小説集) [ 北國ばらっど ]
評価:3
ジョジョの奇妙な冒険小説おすすめランキング
■ヒトコト感想
岸辺露伴シリーズ。漫画から小説作品へと物語は広がっていく。今回は3つの短編が収録されている。読んでいる間は、ついつい漫画の岸辺露伴を頭に思い浮かべ、敵キャラもジョジョ風なキャラを思い浮かべて読んでしまった。特にジョジョらしいと感じたのは「5LDK○○つき」だ。現象がわかりやすく、敵もわかりやすいビジュアルで登場してくるので漫画に向いている物語だと思った。
相手を瞬時に本にして、文字を書き込むと相手はその書き込まれた命令通りにしか動けない。最強のスタンドと思われたヘブンズドアーも、人間ではないものについてはかなり苦戦するということだ。光の速さで攻撃してくるなんてのは、防ぐことができない攻撃だろう。
■ストーリー
杜王町在住の人気漫画家・岸辺露伴。リアリティには徹底的にこだわり、妥協なき漫画制作に取り組む男が遭遇する数々の奇譚とは……!?最上の音楽を見出そうとした男の末路(「黄金のメロディ」。実写化を許諾したが故に起こる悲劇(「原作者 岸辺露伴」)。毎年六月に住人が蒸発する家(「5LDK〇〇つき」)。3つの物語を収録した小説集。
■感想
「黄金のメロディ」は岸辺露伴らしい物語だ。レコードの音にこだわる男が、あまりにこだわりすぎて…。究極の音が黄金のメロディらしい。それを聞くと体が崩壊してしまう。ケーブルひとつの値段で車が買えるほどの設備の数々。
信じられないような金をかけて究極の音楽を聴く。同じく漫画に対して果てしなくこだわりを見せる露伴と同じようなタイプではあるのだが…。自らを犠牲にしてまでも、究極のメロディを求めるのは真のおたくなのだろう。
「原作者 岸辺露伴」は、露伴原作の作品が実写化された。あまりに作品に入り込んだ俳優が、原作と同じように周りを攻撃してくる。あたりの水分をすべて吸い尽くすなんてのは、本家のジョジョにも登場しそうなスタンド能力だ。
露伴のヘブンズドアーがあれば、それであっさりと倒せるのかと思いきや…。俳優が演技にのめりこみすぎてというのが、このシリーズの作品らしい。岸辺露伴の知能と究極の原作リスペクトから行き着いた物語なのだろう。
「5LDK○○つき」は、いわくつきの家に招待された露伴が、そこでとんでもない経験をする。まずこの異常に家賃が安い家の怪しさが際立っている。そして家の構造が少しおかしく、栗の木で細かなサッシまでできている。
梅雨の時期になると栗の木が湿気をすってドアが開けなくなるというのが良い。つまり、家自体が獲物を得たように住人を閉じ込めることになる。そして、そんな獲物をしとめにやってくるのは…。相手を見てしまうと光の速さで攻撃するというとんでもない化け物だった。。。
露伴のヘブンズドアーでも勝てない敵ばかりだ。