2019.4.11 岸辺露伴のスタンドは小説に向いている 【岸辺露伴は叫ばない】
岸辺露伴は叫ばない 短編小説集 (JUMP jBOOKS) [ 荒木 飛呂彦 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
ジョジョ第四部に登場してくる岸辺露伴を主人公とした短編集。ジョジョの登場人物の中で唯一小説に向いているキャラであり、スタンド能力だろう。他のキャラのように格闘で相手を倒すキャラではないので、文章での戦いに違和感はない。自分的にもジョジョの中では第四部が一番好きで、なおかつ岸辺露伴は好きなキャラのひとりだ。
露伴のスタンドは人を本にするという、小説にリンクしたような能力だけに、短編でもそれらをフル活用している。短編としても露伴のスタンドが無敵であるわけではなく、露伴がかなりピンチに陥る場合もある。ひとつ驚いたのは、露伴以外のキャラがまったく出てこないことだ。露伴だけで物語を進められるというのがキャラ立ちしている証拠だ。
■ストーリー
杜王町在住の人気漫画家・岸辺露伴。面白い漫画を描くためには手段を選ばず、リアリティを追求し続ける男が、偶然かそれとも必然か…運命に導かれるように遭遇する、奇妙な事象の数々とは!?大人気『岸辺露伴は動かない』シリーズ初の短編小説集が、圧倒的なクオリティで登場!!『くしゃがら』『Blackstar.』『血栞塗』『検閲方程式』に、書き下ろし『オカミサマ』を加えた5つのストーリーを収録。
■感想
「Blackstar.」は、どの時代でもどこでも人の写真に写りこむスパゲッティーマンと露伴が対決する短編だ。スパゲッティーマンは、都市伝説をうまく流用している。スパゲッティーマンが大量に露伴に襲い掛かる。敵としての能力は、純粋に強力だ。露伴だからこそこの敵と対決し生き残ることができている。
敵としてはスタンド能力ではなく、純粋に都市伝説的な奇妙な存在ということなのだろう。この敵では、仗助でも勝つことはできない。露伴だからこそ対応できたということだろう。
「血栞塗」は、血の色をした栞というのがまさに露伴の能力と一致している。それ以上先を読まない方が良い。その印として真っ赤な血のような栞が本に挟んである。その秘密を話してくれた書士に対して露伴がヘブンズドアを使うのだが…。
人を本にして、その人の記憶や経験を読む能力。ただ、人には読まれたくない部分がある。それをどのように表現するのか。別の短編では袋とじという表現をしていたりもする。本を読むというイメージをうまく使った作品であることは間違いない。
「検閲方程式」は、究極の方程式で、それを解いてしまうととんでもないことが起きる。そんな方程式を解こうとしたために、植物人間となった女がいた。この手の精神的や秘密の何かに関しては、露伴の能力はとんでもなく効果をはっきする。
露伴がヘブンズドアで相手を本にして、方程式のことを忘れると一言書けば、その女は植物状態から脱する。露伴のヘブンズドアだけで解決できるような敵や事件というのが前提にある。ジョジョの定番である暴力を使った闘いがいっさいないのもポイントだ。
岸辺露伴のスタンドは小説に向いている。
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