2023.12.29 映画の映像が頭の中に蘇る 【岸辺露伴ルーヴルへ行く 映画ノベライズ】
ジグソーパズル 岸辺露伴ルーヴルへ行く
評価:3
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■ヒトコト感想
すでに映画を見ている状態で映画ノベライズを読んでみた。感覚としては、当然ながら映画と同じ印象だ。頭の中で映画の映像を思い浮かべながら読むことができた。映像では気づかなかったことが文章では気づくことがある。岸辺露伴とその祖先の関係などは、映像ではサラリと流されていたが、文章で読むとしっかりと関連が理解できた。ただ、黒い絵を見てからの「後悔」に襲われる下りは、やはり映像の方がインパクトがある。
車の音だけが響き渡り、まるで車に轢かれたように体に車のタイヤの跡がつく。過去にどんな後悔をしたのか。映像でもそのあたりの「後悔」に襲われるシーンは、対象者が恐怖におののいている場面だけとなっている。
■ストーリー
特殊能力を持つ、漫画家・岸辺露伴は、青年時代に淡い思いを抱いた女性からこの世で「最も黒い絵」の噂を聞く。それは最も黒く、そしてこの世で最も邪悪な絵だった。時は経ち、新作執筆の過程で、その絵がルーヴル美術館に所蔵されていることを知った露伴は取材とかつての微かな慕情のためにフランスを訪れる。
しかし、不思議なことに美術館職員すら「黒い絵」の存在を知らず、データベースでヒットした保管場所は、今はもう使われていないはずの地下倉庫「Z-13 倉庫」だった。そこで露伴は「黒い絵」が引き起こす恐ろしい出来事に対峙することとなる…。
■感想
ノベライズ版を読むと、当然ながら頭の中には映画の映像が浮かび上がる。謎の黒い絵をオークションで露伴が競り落としてから因縁がスタートする。岸辺露伴の過去というのは今まで本編のマンガでもほとんど語られなかった部分だ。
ただ、年上の女性に関連する事件というのは、本編でもあった展開だ。今回は青年期の露伴が謎の黒髪の女性に興味を示すことが描かれている。露伴がこの黒い絵に関わるのは運命だったのか。露伴の祖先のことを考えると、運命という以外には考えられない。
露伴と泉がフランスのルーブルへ行く。映画としてのインパクトはフランスでのロケというのがあるのだろう。小説作品としては別にどこだってよいのだろうが…。キャラクターとしてルーヴル美術館のキュレーターが消防士と共謀して絵画泥棒を働いていたというのは必要なののだろうか?
悪がなんらかの形で成敗されるパターンは必要なのだろうが…。今作に限って言うと、ヘヴンズドアーはあまり活躍しない。ラストではヘブンズドアをやけに都合よく使っているという印象しかない。記憶をなくすよう書込み、自分でその文字を消したから記憶が戻る、というのはやりすぎだろう。
岸辺露伴シリーズの作品を読んでいるならば楽しめるだろう。ついでに言うなら、ドラマ版を見ていることが前提となるのかもしれない。ヘブンズドアをどのようにして表現するのか。あのマンガのような表現をCGでやるという案はなく、実写版としてできるだけリアルにしている。
それはノベライズでも同様で、他キャラクターでのスタンドが登場することもない。つまりはちょっと変わったドラマという感じだ。それをノベライズとして読んでいる感覚かもしれない。
ジョジョファンならばかろうじで楽しめるだろう。
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