岸辺露伴ルーヴルへ行く


 2023.11.30    ジョジョとは別物の岸辺露伴が描かれている【岸辺露伴ルーヴルへ行く】

                     
岸辺露伴 ルーヴルへ行く [ 荒木飛呂彦 ]
評価:3

■ヒトコト感想
岸辺露伴シリーズの映画版。ドラマはすべて見ている。岸辺露伴のスタンドをうまい感じで映像化しており、スタンドとの対決というよりも岸辺露伴が経験する不思議な出来事をメインに語られているシリーズだ。本作ではフランスのルーヴル美術館で謎の黒い絵を探す物語となっている。

前段として黒の話は興味深い。光すらも反射しない真っ黒な絵。実はルーヴルに保管されている黒い絵は、呪われた絵だった。青年時代の露伴の経験や、露伴の祖先の話までも広がっていく。序盤で黒い絵を盗もうとした人物が謎の見えない車に轢かれるシーンで、新手のスタンド使いか?と思ったが、やはりそうはならなかった。ジョジョとは一風変わった雰囲気なのは間違いない。

■ストーリー
人の記憶を本のようにして読む特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴(高橋一生)。新作を執筆する過程で、青年時代(17歳の露伴/長尾謙杜)に淡い思いを抱いた女性・奈々瀬(木村文乃)に聞いたこの世で最も「黒い絵」のことを思い出した露伴は、現在その絵がフランス・ルーヴル美術館に保管されていることを知る。「黒い絵」―それは、この世に存在しえない黒で描かれた、この世で最も「邪悪な絵」。その絵にまつわる奇妙な事件に興味を持った露伴は、取材とかつての微かな慕情のために担当編集・泉京香(飯豊まりえ)とパリへ向かう。

■感想
岸辺露伴のヘヴンズドアの役割はラストだけ必要なのだろう。ジョジョとは一線を画した感じになりつつあるこのシリーズ。スタンド能力はほぼ相手を調査する場合にのみ使用する。実写版なので、スタンド能力での対決というのはない。

露伴がなぞの超常現象にぶち当たり、その謎を解くためにヘヴンズドアを使う。今回はラスト近辺で、この世のものではない亡霊に対してベヴンズドアを実行したが利かなかった。呪われた黒い絵の前では露伴自身の記憶を消すことしかできないのは強烈だ。

露伴の青年期が描かれている。まだヘヴンズドアの能力が発現する前の状態で、漫画家としても駆け出しの露伴が描かれている。このあたり、原作マンガではまったく描かれていないので、完全なオリジナルなのだろう。祖母の家に下宿し、同じように住んでいた謎の女に惹かれていく露伴。

恋愛を知らない青年が年上の女性に憧れる典型的なパターンなのだろう。この謎の女が最後までよくわからなかった。露伴の祖先の伴侶ということでの扱いだが、露伴と同じ時代を生きているのがおかしい。

呪いの絵を見ると、過去の自分の過ちが襲いかかってくるということなのだが…。露伴の場合は絵の作者である仁左衛門が登場してくる。なぜ?という思いはその後に解決されるのだが…。車に轢かれたのは過去に事故でも起こしてたいのだろう。

ここでポイントなのは、実は泉も絵を見ていた部分だ。絵を見ても何の影響も受けていないということは、泉はまったく罪や負い目を感じていないということだ。天真爛漫すぎて自覚していないのかどうなのか…。

ジョジョとはまったく別物だ。



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