2022.8.27 瑞々しい青春の1ページがここにある【花とアリス】
花とアリス 特別版 / 岩井俊二
評価:3.5
■ヒトコト感想
「花とアリス殺人事件」は原作やアニメは見た。それらは本作のキャラを使っての作品だとわかった。瑞々しい青春の1ページが登場してくる。アリスと花の三角関係がメインなのだが、それよりも学生時代のあるれるほどのパワーを感じてしまった。宮川先輩に対して先輩は記憶喪失です。私へ告白しました。と言い切ってしまう花の胆力の強さ。
元カノとして宮川先輩への演技を続けてきたアリスが、宮川先輩に恋してしまう流れ。この三角関係も面白いのだが、自分が印象に残っているのはアリスと花のバレエ教室でのきゃぴきゃぴとした行動の数々だ。学生時代とはここまでアグレッシブにパワーにあふれているのかと驚かされる場面が連続して登場してくる。
■ストーリー
ハナとアリスは同じバレエ教室に通う中学生。あるときハナは通学途中で出会った手塚高校の宮川先輩を好きになる。翌年、ハナとアリスは一緒に手塚高校に進学。さっそくハナは宮本先輩が所属する落語研究会に入部すると、先輩の尾行を開始した。一つの嘘が更なる嘘を呼び、少女と少年の可愛らしい三角関係が、色々な人々を巻き込んだトリッキーな三角関係へと変貌を遂げる。
■感想
アリスと花は親友で同じバレエ教室に通う仲間だ。通学途中で出会った宮川先輩とひょんなことから花が出合い、そして、宮川先輩は記憶喪失ということにして花と付き合っていることにしてしまう。この強引さがすばらしい。
宮川先輩もいくらなんでも流されすぎだろうと思うのだが、この関係が最高だ。積極的な花と、花に押され気味な宮川先輩。そこに宮川先輩の元カノという設定でアリスが登場してくる。アリスと宮川先輩と花の関係というのが秀逸で、歪なバランスが最高の物語を作り上げている。
瑞々しい青春の日々がすばらしい。アリスと花はそれぞれ何かしら問題があるが、それを感じさせず恋愛やバレエに一生懸命になる。宮川先輩を巡ってのアリスと花の関係も最高だ。特に3人で海へ行くシーンはそれまでの伏線が回収され強烈なインパクトがある。
中でも離婚したアリスの父親との思い出である海でのトランプとのリンクしている場面など最高だ。宮川先輩が拾ったトランプは実はアリスが子供のころに父親と海岸でやったトランプの一枚だという流れなのだろう。
アリスはタレント事務所にスカウトされ、オーディションを受けるのだが落選し続けている。ラストで、面接の場でいきなりバレエを踊り始める。この場面はなぜか感動に満ちている。どんな感情が湧いているのかがよくわからないが、必死に踊るアリスと、その姿を唖然とした表情で見守るしかないカメラマンや編集者たち。
青春のあふれ出るパワーが画面からにじみでている。花とアリスの関係も、宮川先輩の件で一時的にギクシャクはしたのだが、すぐに元通りに戻るのが良い。
この瑞々しさは必見だ。
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