大怪獣のあとしまつ


 2023.11.24    誰が怪獣の後始末をしているのか【大怪獣のあとしまつ】

                     
大怪獣のあとしまつ [ 山田涼介 ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
ウルトラマンなどで巨大な怪獣が日本にやってきた場合、ウルトラマンに倒された怪獣をどのように片づけているのか。確かに疑問ではある。「シン・ウルトラマン」「シン・ゴジラ」と同様に現実的な要素を組み込みながらの怪獣の後始末について描いているのだが…。中途半端なコメディ感と、怪獣をまるで原発事故を起こした原発のような扱いとしている。

閣僚たちの他者への押し付けや自分の存在感を示すために、どの省庁があとしまつを担当するかなど、駆け引きは確かに面白い。自衛隊や特務隊との駆け引き。巨大な怪獣の身体にガスがたまり、それが放出されるとうんこのようなにおいがするからと、それが被害の要因となっている。原発の放射能汚染とうんこの臭いをイコールにしているのだろう。

■ストーリー
人類を未曽有の恐怖に陥れた大怪獣が、ある日突然、死んだ。国民は歓喜に沸き、政府は怪獣の死体に「希望」と名付けるなど国全体が安堵に浸る一方で、河川の上に横たわる巨大な死体は腐敗による体温上昇で徐々に膨張が進み、ガス爆発の危機が迫っていることが判明。大怪獣の死体が爆発し、漏れ出したガスによって周囲が汚染される事態になれば国民は混乱し、国家崩壊にもつながりかねない。

終焉へのカウントダウンは始まった。しかし、首相や大臣らは「大怪獣の死体処理」という前代未聞の難問を前に、不毛な議論を重ね右往左往を繰り返すばかり…。絶望的な時間との闘いの中、国民の運命を懸けて死体処理という極秘ミッションを任されたのは、数年前に突然姿を消した過去をもつ首相直轄組織・特務隊の隊員である帯刀アラタだった。

そして、この死体処理ミッションには環境大臣の秘書官として、アラタの元恋人である雨音ユキノも関わっていた。果たして、アラタは爆発を阻止し、大怪獣の死体をあとしまつできるのか!?そして彼に託された本当の〈使命〉とは一体――!?

■感想
大怪獣が突然死んだ。超巨大な怪獣の死体をどのようにして処理するのか。未知の生物なので放射能汚染や未知の細菌の危険がある。それらをクリアしたとしても、物理的に巨大な怪獣の死体をどうするのか。驚きなのは、怪獣の死体を観光資源としてインバンドの増大を目指す場面だ。

他国もそれを狙って怪獣の死体をよこせと言ったりもする。本作の面白い部分としては、閣僚たちのやりとりだ。コメディ映画で登場してくる俳優たちのコミカルな演技が良い。特に環境省の女性閣僚がいちいち面白い。

各省庁の閣僚たちの駆け引きがありながら、特務隊や自衛隊は上の指示によりそれぞれの行動をとる。怪獣は川に倒れているので、上流の巨大なダムを崩壊させ、水の勢いで海に流すという案が実行される。大規模なダム破壊計画なのだが…。

それも失敗し怪獣は動かない。怪獣を放置しておくと体内のガスが充満しそれが許容量を超えると爆発し、臭いガスがあたりにまき散らされる。これは放射能汚染をイメージしているのだろう。ガスが放出されると当たり一体が避難区域になる。

いつのまにか怪獣のガスを抜くのがミッションとなっている。特務隊員のアラタが地道にガスを逃がす処理をしているのだが…。そもそも怪獣がなぜ突然死んだのか、というのが蒸し返される。オチとしてはアラタがウルトラマン的な存在で、怪獣を倒したということなのだろう。

怪獣の死体がそのまま原発事故を起こした原子力発電所のような扱いを受けている。中途半端にコメディとシリアスを行ったり来たりするので、最終的にはなんだかよくわからない作品という印象しかない。

設定は面白いのだが…。



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