図書館戦争 革命のつばさ


 2021.1.6      表現の自由を守るために戦争をする【図書館戦争 革命のつばさ】

                     
図書館戦争 革命のつばさ /有川浩
評価:3

■ヒトコト感想
図書館戦争は原作実写版どちらも経験済みだ。基本的な流れは図書隊と良化隊の戦いの中で、上官と部下の中々すすまないラブロマンスという図式となっている。表現の自由を守るために、軍隊規模の力をもつ組織同士が対決する。テロの手口と小説の内容が酷似しているからと作家が良化隊から狙われる。

なんだか戦時中の日本のように、究極なまでに検閲がすすんだ社会というのだろうか。そんな社会の中で、表現の自由を守るために図書隊が戦い続ける。笹原と堂上のちょっとしたラブコメ的な流れというのが物語のアクセントとなっている。原作ファンならば十分楽しめるだろう。実写とはまた違った雰囲気があり、アニメにも合う内容なのは間違いない。

■ストーリー
日本を揺るがすテロ事件が勃発する中、デートの最中だった笠原郁と堂上篤に緊急招集がかかった。新たな任務は、小説家・当麻蔵人の身辺警護。テロの手口に小説の内容が酷似しているとして、メディア良化委員会は作家狩りを始めたのだ。法廷闘争が始まる中、郁たち図書特殊部隊は判決まで当麻を守りきらなければならない。

図書隊と良化隊の衝突が激化する中、重傷を負ってしまう堂上。動揺する郁に、堂上は任務の遂行を託す。郁は、当麻を守り、表現の自由を守ることが出来るのか!? --そして郁と堂上とのもどかしい恋の結末は!?

■感想
図書館戦争のアニメは初めて見た。基本的な内容は抑えているので、すんなり入り込むことができた。原作も未読で、実写版も見たことがない場合は厳しいだろう。キャラクターの関係性がしっかりと頭に入っていれば問題なく楽しめる。

笹原と堂上は上司部下の関係で、笹原の片思いかと思われたのだが…。実は堂上も笹原のことを。。。ただ、それを表現することが苦手な堂上のぶっきらぼうな態度を楽しむべき作品なのかもしれない。そこに図書隊と良化隊の対立が加わり、軍隊的な要素がより強く表現されている。

テロの参考にされたということで作品を書いた作家が裁判にかけられる。とんでもない世界だ。表現の自由などない、作家は誰もが逮捕される危険性があるということだ。作家の当麻を図書隊が守り、良化隊は当麻を逮捕し投獄しようと考える。

検閲がここまですすむと、小説などまともに書けたものではないだろう。図書隊のメンバーは純粋に本が好きで表現の自由を守ろうと必死になる。図書隊と良化隊は軍隊なみの戦力をもつので、対立が激しくなると銃撃戦も繰り広げられる。

日本国内で日本人同士が銃で殺しあう。その原因は宗教でもない。純粋に表現の自由を求めての戦いとなる。この設定自体は図書館の自由に関する宣言という実際に存在するモノからヒントを得たのだろうが、宣言をもとに戦争的なことが起きるのがぶっ飛んでいる。

本好きな人には響くような仕掛けがあちこちにある。本屋で笹原が良化隊につかまるところを堂上がさっそうと助けに入る。まさに夢見る少女が空想しそうな王子様登場シーンそのままだ。

原作を読んでいる人ならば十分楽しめるだろう。



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