図書館革命  


 2012.10.3    作者の強い主張 【図書館革命】

                      評価:3
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■ヒトコト感想

図書館シリーズの終結。原子力発電所を襲ったテロが発生し、参考にしたとされる書籍の作者が危機におちいる。まず、この原子力発電所のテロというのは、すぐさま東野圭吾の「天空の蜂」をイメージした。作中では似ても似つかない作家だが、東野圭吾ファンならばすぐに気付いたことだろう。そこから始まる表現の自由にかける図書隊の思い。そして、鍵をにぎるのは、すべてを達観したような手塚兄の存在だ。主要キャラたちが協力し、そこに手塚兄まで参加しての大騒動。言葉狩りに対する作者の強い思いが表れたシリーズであることは間違いなく、その思いの強さが最後の郁や堂上の行動にあらわれているのだろう。当然ながら、ニヤけるような甘い恋愛にも決着がついている。

■ストーリー

正化33年12月14日、図書隊を創設した稲嶺が勇退。図書隊は新しい時代に突入する。年始、原子力発電所を襲った国際テロ。それが図書隊史上最大の作戦(ザ・ロンゲスト・デイ)の始まりだった。シリーズ完結!!

■感想
原子力発電所を狙ったテロが勃発。テロ組織が参考にしたと思われる小説の作者が迫害を受ける。シリーズを通して表現の自由や、文脈を判断しないくだらない言葉狩りに対しての、作者の怒りというのがあらわれている。とりわけ、本作では自主規制についての話や、文脈を読まずにクレームを撒き散らす者たちへの怒りに溢れている。「片手落ち」という言葉だけで差別用語だと声高に叫ぶ人がいるとはかなり驚いた。常識的に考えて、日本語を習得したての外国人が誤解するならわかるが、純粋な日本人がそんな勘違いをするとは思ってもいなかった。

シリーズの特徴である、体が痒くなるような恋愛は健在だ。というか、よりパワーアップし、さらには予想どおりの決着をつけている。郁と堂上というお互い気付いていながら、なんとなくはっきりと言葉にできないモヤモヤとした雰囲気。お互いの思いが文章として描かれているために、余計にニヤニヤしてしまう。非現実的な気もするが、架空の物語ならば、純粋でツンデレな恋愛模様を読み、ニヤつくのも悪くないかもしれない。誰もが想像するハッピーエンドというのも、すこぶる後味が良い。

登場人物たちが、節目になんだかんだと説明口調で思考するのが、本作の特徴の一つだが、それらはすべて作者の思いを代弁しているのだろう。広い意味での表現の自由を争うために、武器を持って戦うなんてのは、あまりに飛躍していると最初は思った。図書隊に違和感をもたずにいられなかった。それが、シリーズを重ねるごとに、不自然なく、表現の自由を守るために図書隊は必要だと思えてくるからすごい。普通ならば、「ありえない。マンガの世界だ」で終わってしまうのが、そうならない説得力に満ちている。

シリーズの特徴が凝縮されたような作品だ。




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