ソロモンの偽証 後篇・裁判


 2018.5.8      大人びた中学生たちに違和感 【ソロモンの偽証 後篇・裁判】

                     
ソロモンの偽証 後篇・裁判 [ 藤野涼子 ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
前篇では事件とその容疑者が語られていた。本作ではついにスタートした学内裁判が描かれている。正直、違和感をおぼえた。中学生がこれほどしっかりと裁判をやり通せることに違和感しか感じない。特に裁判官役の井上は、あまりに大人びている。裁判によって真実が明らかとなる。

正直、ミステリー的な謎があるわけではない。結論は最初のころとほぼ変わっていない。ただなぜ自殺したのか?という謎の解明にはつながっている。被疑者である大出や弁護士なども、どうにも茶番のように思えてしまう。学内でここまでさらし者のような形になることについては、あまり恐れていないようだ。自分だったら絶対にさらし者になりたくないと思うのだが…。

■ストーリー
前代未聞の中学生による校内裁判、遂に開廷。被告は、告発状によってクラスメイト殺害の嫌疑がかけられた問題児。校内裁判の提案者である藤野涼子は検事として、彼の有罪を立証しようとする。対する弁護人は、他校生ながら裁判に参加する神原和彦。さまざまな思惑が絡み合う中、真相を究明しようと彼らは必死に奔走する。そして、裁判は思いもよらぬ人物の【証言】で幕を閉じる。真相を知った彼らが、その先に見たものはー。

■感想
事件を解決するために、学内で裁判を行う。すでにこの状態が異常だ。前編で大まかながら事件の概要は判明していた。すべての元凶である樹里が声が出せなくなるという、なんとも都合の良い状況となり、そのため、奇妙な状況となる。

大出が犯人であるはずはないと観衆は気づいている。それでも、樹里が裁判でどのような立ち振る舞いをするのかが気になるポイントであることは間違いない。学内裁判の場で、自分が告発したことは全て嘘でしたと暴露するのか、それとも人のせいにするのか…。

中学生が判事となり検事となり弁護人となる。それを大人たちや刑事が証人として登場したりもする。この不自然な状況が、まったく違和感なくすべてを受け入れている。大人びた中学生たちが、それなりにインパクトのある会話をくりかえす。

そして、その先には新たな真実が明らかとなる。ミステリーとしての面白さはない。新たな犯人が出てくるというのはない。前篇から想定できる内容の流れとなってはいるが、なぜ自殺したのかというのが、深堀されているのは間違いない。

結論からいうと、とんでもない裁判だなぁという印象だ。結局は誰も幸せになっていないように思えた。そして、全ての騒動の元凶ともいうべき、樹里に対してはうやむやに済まされている。それぞれの細かな事情があるのはわかるのだが、それにしても、全ての人が不幸になる裁判だという印象が強い。

原作では、結局何がしたかったのかわからないという印象があったのだが、映像化されるとなおさらその印象が強く、さらには大人びた中学生たちの行動に違和感ばかりを覚えてしまった。

それなりにインパクトがあるのは確かだが…。



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