2018.4.24 大人びた中学生たちに違和感 【ソロモンの偽証 前篇・事件】
ソロモンの偽証 前篇・事件+後篇・裁判
評価:3
■ヒトコト感想
原作を読んだ時の印象は、前半は非常に興味深くミステリアスな展開が良かった。それが裁判の場面になると、途端にトーンダウンした印象があった。本作はその裁判に入る前を描いた作品だ。柏木卓也の飛び降りた死体。柏木は不良の大出に殺されたのか?それとも自殺なのか?告発状の存在や、裏で暗躍する三宅樹里の存在など、ミステリアスな展開はすばらしい。
ただ、映像化されると中学生たちがやけに大人びたというか、子供らしくない面ばかりが目についてしまう。三宅がとんでもなく厭なキャラであり、憎しみしかわかない。物語の論調は柏木が自殺したことになっている。警察の捜査でもその結論がでている。にもかかわらず、中学生たちは自分たちで裁判を起こそうとする。
■ストーリー
クリスマスの朝、雪が降り積もった城東第三中学校の校庭で2年A組の生徒・柏木卓也の死体が発見される。警察も学校も飛び降り自殺と判断するが、後日、学校関係者のもとに、柏木の死は自殺ではなく、大出俊次をリーダーとするいじめグループによる殺人だったと訴える匿名の告発状が届く。やがてそれはマスコミにも伝わり、ワイドショーを連日賑わすことに。
それでも学校側は穏便に事を収めようと後手を踏むばかりで、事態は悪化の一途を辿っていく。そんな中、事件の第一発見者で2年A組のクラス委員を務める藤野涼子は、大人たちには任せておけないと、自ら真実を暴くべく立ち上がる。そして、全校生徒に対し大出を被告人とする学校内裁判の開廷を提案する藤野だったが…。
■感想
原作を読んだ印象は、柏木が誰かに殺されたのかそれとも自殺したのかがわからない展開のミステリアスさだ。三宅が出した告発文にしても、本当に三宅は柏木が殺される瞬間を目撃したとの論調で書かれていた。そのため、どのような流れになるのかが気になった。
それが映像化されると…。ポイントは間違いなく告発文を出した三宅が現場を目撃したのか?ということだ。生徒たちだけで裁判を実行し、そこで真実が明らかとなる。ある意味つるし上げのような形だが、それが生徒たちが選んだ手段だ。
映像化されるにあたり、より分かりやすくなっている。また、時系列を変化させることで、ミステリアス感を強くしている。担任教師が告発文を捨てたくだりについても、観衆は真実を知らないまま、担任が間違って棄てたものと考えてしまう。そのカラクリはのちに判明する。
誰かが激しく責められる物語だ。最初は担任教師。次は校長先生。次々と離脱していく中で、真実が判明しないまま物語はすすんでいく。ここで普通ならば終わるところを、マスコミが掻き回し、最後には生徒たちだけでの裁判へと繋がることになる。
子どもたちが大人びた行動をとると、それだけで違和感をおぼえてしまう。なぜ裁判を始めるという思考にたどり着くだろうか。そして、被告人として参加したいと思うだろうか。中学生くらいになるとひねくれた精神で、本来ならば当たり前のことを「かっこ悪い」とやらないことがある。
本作に登場する中学生たちは、みな根本は真面目で、良い子だということだ。子どもたちの行動のひとつひとつに違和感を感じるので、終始気持ち悪さを感じてしまった。
後篇では裁判がメインなので、より気持ち悪さが際立つのだろう。
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