ポーラースター ゲバラ漂流 


 2018.2.22      中米の歴史になじみがあれば 【ポーラースター ゲバラ漂流】

                     
ゲバラ漂流 ポーラースター [ 海堂 尊 ]
評価:2.5
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■ヒトコト感想
前作からゲバラは中米へと旅をする。基本的に行く先々で様々な経験をするゲバラが描かれている。小難しい中米の歴史が語られており、それを理解しなければ楽しむことは難しいだろう。強烈なインパクトはない。ゲバラが旅する先で、アバンチュールあり危険な状況あり、いつの間にか英雄にされたりと様々な状況がある。

自分の中で中米諸国の歴史についてまったく知識が無いので、非常に理解するのが難しかった。そもそも中米の国の位置関係すらはっきりと理解していない。そんな状況では、ゲバラの単純な物語として楽しむのは難しい。ある程度、前提の知識がなければ十分楽しめない。自分がイメージするゲバラの旅は「モーターサイクルダイアリーズ」なので、それとのギャップは大きい。

■ストーリー
前作『ポーラースター ゲバラ覚醒』では、若き医学生のゲバラが南米を巡るうち、独裁者の圧政、社会的弱者の困窮など、世の不条理に対する怒りに目覚めていく様が描かれました。

本作では、医師となったゲバラが「ラテンアメリカの統一」という大志を抱き、パナマ、コスタリカ、ニカラグア、グアテマラ……と中米諸国を〝漂流〟します。そこで大国アメリカに事実上、支配されている小国の現実に直面し、反米の炎を燃やすようになります。それが後の革命家としての原動力となったのでした。

■感想
ゲバラが中米を周る。パナマにコスタリカにニカラグア。サッカーW杯くらいでしか目にすることのない国の名前ばかりだ。それらの国が中米のどのあたりに位置しているのかよくわからない。さらには、国のバックグラウンドとして、どのような状況なのかもわからない。

アメリカとの関係も、親米なのか反米なのか。ゲバラの立場も国によって変わってくる。ゲバラが面会するのは元大統領や大統領夫人など大物ばかりだ。医者として夜間に救急医療を助ける業務を行いながら旅を続けるゲバラはすさまじい胆力だ。

ゲバラは中米で様々な経験をする。旅のお供として弁護士のロホがあちこちでくっついてくる。このロホの存在が、物語を面白くしている。なんの後ろ盾もないゲバラがお偉いさんと面会できるのは、ロホの機転を利かせた行動が大きいのだろう。

大国アメリカに支配された中米諸国の中で、アメリカ寄りの大統領だとか、反米の大統領だとか。立場によりゲバラに対する当たりも変わってくる。これらの中米での活動がその後のキューバ革命へと繋がったのだろうか。

ゲバラファンならば、このあたりの物語もすんなりと入り込めたのだろうか。自分の中では中米関係の話が小難しく、ほとんど理解できなかった。前作まではなんとか理解できる範囲ではあったが、その先になるとかなり高度になる。

日本にいると中米の地理や歴史に疎いのはしょうがないのかもしれない。中米がアメリカの支配状態となった理由というのはよくわからない。特別な状況だとは思わないが、それでも、国の貧困が根本にあるのだろう。

ゲバラの旅を通して中米の歴史を学ぶことができる作品だ。



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