ボーラースター ゲバラ覚醒 海堂尊


 2016.12.5      ゲバラの政治的バックグラウンド 【ポーラースター ゲバラ覚醒】

                     

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■ヒトコト感想
チェ・ゲバラの物語を描いた作品。思い出すのは「モーターサイクル・ダイアリーズ」だ。ゲバラが医学生時代から南米の旅にでるまで。フィクションが交えてはあるが、実在する人物とのやりとりが絶妙なアクセントとなっている。特にアルゼンチンの大統領であるベロン将軍とのやりとりや、その妻エバとの出会いなど、ゲバラの政治的な考え方のベースとなる流れが描かれている。

ゲバラと共に南米を旅する友人としてビュートルという架空の人物を登場させ、旅をドラマチックなものとしている。フィクションとノンフィクションがたくみに混ざりあい、チェ・ゲバラの物語にのめり込むことができる。青春期のゲバラを描いた作品のため、ここから大きく物語は変化していくのだろう。

■ストーリー
医学生ゲバラは友人ピョートルとオンボロバイクにまたがり、南米大陸を駆け巡る。放埒な人妻、偉大な詩人、抑圧された人々、病に苦しむ患者と接し、次第に目覚めていく…。没後50年(2017年)、生誕90年(2018年)にゲバラを、キューバ革命を、そしてラテンアメリカを書き尽くす4部作の第1弾!

■感想
ゲバラが友人と共にボロいバイクにまたがり南米を旅する。頭の中では「モーターサイクル・ダイアリーズ」の映像がよみがえってきた。医学生のゲバラが婚約者を振り切り旅にでる。物語はゲバラが高校生の時代にまでさかのぼる。

情勢不安なアルゼンチンで、ベロン将軍やエバとの出会いにより政治的な考え方が変化していく。そして、ビョートルに誘われ恋人との婚約を破棄してまで南米へ旅にでる。ゲバラが全てを投げうってでも旅にでようとするその熱い気持ちに、同じく読者も熱い気持ちになることだろう。

ゲバラとビョートルは医者のタマゴというのをたくみに利用し、医者としての仕事にありついたりもする。基本は貧乏旅行だが、様々なバイトで糊口をしのぐ。その中で権威ある医学の研究者というビョートルの軽口により、旅が良い方向へすすんだりもする。

紛争地域であるボリビアに到着した際には、旅のパートナーと別れることになる。フィクションとノンフィクションをたくみに織り交ぜており、実在する人物との関係により物語に真実味が増している。

ゲバラがどうなっていくかは予想がつくが、海堂尊はフィクションを織り交ぜてくるので、今後どのような流れになるのか想像がつかない。恐らくだが、この第1弾で南米の旅は終わりだろう。本作の内容としても南米の旅は半分程度で、残りはベロン将軍やエバとの絡みが描かれている。

やはりゲバラが政治的に目覚める下地となるのは、青春時代に見聞きしたことが大きいのだろう。本作ではまだ革命家のイメージはない。今後どのようにゲバラが変わっていくかが楽しみだ。

このシリーズは読み続けるだろう。



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