2020.10.18 スィーツを題材とした日常の謎 【巴里マカロンの謎】
巴里マカロンの謎[ 米澤穂信 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
小市民シリーズ。常悟朗と小山内のふたりが日常の謎を解き明かす。時系列的には『春期限定いちごタルト事件』と『夏期限定トロピカルパフェ事件』の間にまたがっている。短編のタイトルとしても、マカロン、チーズケーキ、あげぱん、シュークリームなどスィーツのタイトルとなっている。スィーツを食べにきて、目の前の皿には3つのマカロンのはずが、なぜか4つのマカロンがのっていた。
普通ならば気にせずラッキーと感じて1つおまけとして食べてしまうところを、謎として深読みする。現実にいたらかなりめんどくさい人物だろう。飲酒での停学問題や、柔道部でのしごきの問題など、謎はシンプルだが問題はわりと深刻なものが多い印象だ。
■ストーリー
「わたしたちはこれから、新しくオープンしたお店に行ってマカロンを食べます」その店のティー&マカロンセットで注文できるマカロンは三種類。しかし小佐内さんの皿には、あるはずのない四つめのマカロンが乗っていた。誰がなぜ四つめのマカロンを置いたのか?小鳩君は早速思考を巡らし始める…心穏やかで無害で易きに流れる小市民を目指す、あのふたりが帰ってきました!
■感想
「巴里マカロンの謎」は、マカロンを4種類食べたいという小山内の頼みを聞くことになった常悟朗。そこでマカロンとティーセットを頼んだふたりなのだが。。。そこでは本来3つのマカロンが皿にのっているはずが、4つのマカロンが皿の上にのっていた。
あとから1つのマカロンがのせられたのは確実なのだが、どれが最後の1つかを推理する。そして、そのマカロンのひとつには金の指輪が入っていた。なぜマカロンの中に指輪が入っていたかを推理する物語だ。いつも通り、ありえない部分にひっかかる者たちだ。
「紐育チーズケーキの謎」は、小山内が3年生に拉致されるという物語だ。1年生が小山内に激突し、それを見ていた3年生が小山内を拉致する。常悟朗はどんな理由で小山内が拉致されたかを推理する。チーズケーキはただのタイトル付けのためだけに存在している。
小山内と常悟朗はまるでお互いにだけわかるテレパシーのようなもので、相手の行動から何を目的としているかを推理する。結局は部活動での後輩しごきを撮影した映像のCDについて3年生は探していたというオチなのだが…。チーズケーキはまったく関係ない。
「伯林あげぱんの謎」は、マスタードを詰めたあげぱんのロシアンルーレットを行ったところ、誰もマスタード入りあげぱんを食べなかったことから謎はスタートする。不可思議な状況ではあるが常悟朗が調査していくと、実はあべぱんは5つあったことに気づく。
誰もあげぱんに注意をはらわない空白の時間があった。日常に起こりえる謎を解き明かす本作のシリーズのまさに真骨頂といえる作品だろう。ミステリアスな展開であることは間違いないのだが、それなりにインパクトがある。
スィーツをタイトルとした日常の謎物語だ。
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