見果てぬ花 


 2021.6.9      スーパーマンならぬスパーマンだ 【見果てぬ花】

                     
見果てぬ花 [ 浅田次郎 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
「つばさよつばさ」のようにJALの機内誌に連載されたエッセイが収録されている本作。まだコロナ前の時期のエッセイであり、内容としては今までの作者のエッセイと同様に温泉やダイエットや旅行について描かれている。興味深いのは作者がすでに70歳近いということだ。それまでに様々な病気をしているのだろうが、あまり深刻な部分はこのシリーズには描かれていない。

小説家という職業がら、忙しければ忙しいほど運動をする機会がないらしい。その結果として、体重が増加し続けているらしい。ダイエットエッセイが秀逸なのはいつものとおり。締め切りが迫ると野菜スープを大量に作り、それを脱稿後にカレーにするというのはなんだか面白い流れだ。

■ストーリー
京都で遭遇した不思議な面々を描く表題作、北海道の名湯で驚きの体験「忘れじの宿」、突然送られてきた驚きの一通とは「南アフリカからの手紙」ほか全41篇。

■感想
作者は温泉好きらしい。スーパーマンではなくスパーマンらしい。昭和を生きた作者なので、温泉への入浴に対するマナーには厳しい。温泉の中にタオルを持ち込み前を隠すのは、自分が恥ずかしいからではなく、他者に対して自分の粗末なモノを見せることを防ぐためらしい。

頭が禿げ、腹がでたおやじである作者。それでいてマナーに厳しいのは典型的な気難しいオヤジだ。作者の見た目も、絵にかいたような頑固オヤジな風貌をしている。過去作品の著者近影に対して現在とはかけ離れた風貌だということに触れたエッセイもある。

南アフリカから振り込め詐欺的な手紙がくるくだりは最高だ。南アフリカに親類がおり、その親類の莫大な遺産が作者に入るらしい。その手続きの必要があるとのこと。いくらなんでも無理があるだろう。

すべてが英語で書かれた手紙であり、それを辞書を引きながら読む作者の姿を想像すると笑えてくる。こんなアクロバティックな詐欺の手紙が世の中に存在していたことに驚いた。金を持ち南アフリカに旅行をしたことがある旅人に無差別に送った手紙なのだろうが…。

ダイエットエッセイの面白さは当然のこととして、昔からの風習を知ることができるのも本作の良いところだ。昔は朝食が金、昼食が銀、夕食が銅と言ったらしい。確かに理にかなっているのかもしれないが、現在の自分は正反対である。

作者はどうやら朝食をしっかりととるタイプらしい。ホテルの朝食バイキングは大好物とのこと。結構な高齢ではあるが、食に関しては強い興味があるようだ。ダイエットもさることながら食べることへの欲求を抑えることがない作者のエッセイ集だ。

シリーズが続く限り読み続けるだろう。



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