ハゲタカ2.5 ハーディ 上 


 2018.6.26      鷲頭をめぐる駆け引き 【ハゲタカ2.5 ハーディ 上】

                     
ハゲタカ2.5 ハーディ(下) (講談社文庫) [ 真山 仁 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
ハゲタカシリーズ。ミカドホテルを自分たちの手に取り戻そうとする松平貴子がメインの物語だ。ハゲタカシリーズだが、上巻では鷲頭が登場しない。他の権力者たちから鷲頭という言葉はでてくるのだが、当の本人はいっこうに出てこない。ある意味もったいぶっているということだろう。

世界的なリゾートグループの総帥が死に、後継者争いのどさくさでおいしい思いをしようとする者たちがいる。中国の大富豪が鷲頭にどのような思いを抱いているのか。今までのハゲタカシリーズを読んでいないとわからない記述もある。ホテル買収の中で何が一番重要なのか。トップたちのひりつくような神経戦の連続といった感じなのかもしれない。

■ストーリー
日本を代表するクラシックホテルの日光ミカドホテルは、経営難に陥り世界的リゾートグループのリゾルテ・ドゥ・ビーナス傘下に。創業家の長女、松平貴子は、執行役員になって目標値を達成すればミカドを返すとビーナスから約束される。一方、謎多い中国の大富豪から救済案の提示が。陰謀の渦巻くなか貴子が闘う!

■感想
ハゲタカに買収されたミカドホテル。それを自分たちの手に取り戻そうと考えるのは経営を任された貴子だ。世界的リゾートグループからどうにかしてホテルを取り戻すべく奔走する。そのチャンスが訪れた時、中国の大富豪は信用できる人物なのかの決断が必要となる。

貴子目線でホテル経営とはどのようなもので、サービスとして何が重要かが語られている。リゾルテグループの総帥が死ぬと、そのタイミングで様々な軋轢が起こる。誰が後継者となるのか。

リゾルテグループの混乱に乗じて中国の大富豪がリゾルテグループの乗っ取りに動き出す。もはや桁違いの規模の話をしているので、ミカドホテルなんてのはほんの些細なことでしかない。ただ、中国の大富豪が貴子に近づいてくるのが怪しい。

大富豪にとってはほとんどメリットがなく、貴子にのみ有利な条件で共闘しようともち掛ける。ハゲタカ2で登場してきた人物のその後や、ミカドホテルの先行き、そして、鷲頭へ強い恨みをもつ者の存在など、それなりに注目すべき部分は多数ある。

上巻では鷲頭は登場しない。怪しげな中国の大富豪が鷲頭にこだわりを見せている程度だ。ミカドホテル、リゾルテグループ、どちらに鷲頭はつくのだろうか。それとも、両方の敵になるかもしれない。鷲頭が生み出す奇想天外な行動が、周りを混乱させ、絶体絶命のピンチを潜り抜けてしまう。

ハゲタカシリーズの2.5ということで、その後の「レッドゾーン」へ続く登場人物たちもいる。シリーズを読んでいることが前提の物語となってはいるが、初めてシリーズを読む人もそれなりに楽しめるだろう。

シリーズファンならば読むべき作品だろう。



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