2015.11.1 中国に買収される日本 【レッドゾーン 上】
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■ヒトコト感想
「ハゲタカ2」の続編にあたる本作。今回は莫大な資金を持つ中国の国家ファンドと中国の買収王が関わってくる。買収される側としては、日本の自動車メーカーがターゲットとなる。巨大国家中国が相手となり、さらには、前作の因縁までも絡んでくる。まだ上巻では鷲津がどのような選択をするかわからない。中国と共に日本を買収しようとするのか、それとも国内産業を守るために、中国ファンドと闘うのか。
本シリーズを読むと、買収の仕組みやどのようにして儲けるのかがわかる。そして、防衛策として様々な手段があることも。国として重要な産業は外資規制が入るなどの法律もある。ドラマチックな買収劇が描かれるのだが、どうしても買収した後に、そこまで高く売れるのか?ということを心配してしまう。
■ストーリー
莫大な外貨準備高を元手に、中国が国家ファンド(CIC)を立ち上げた! 若き買収王・賀一華(ホーイーファ)は日本最大の自動車メーカー・アカマ自動車を標的にする。さらに鷲津政彦を誘い出す。「一緒に日本を買い叩きませんか」。日本に絶望した男はどう動くのか。産業界の中枢に狙いをつけた史上最大の買収劇が始まった。
■感想
ハゲタカシリーズとして今回鷲津が対決するのは中国だ。巨額の資金を元に日本の自動車企業を賠償しようとする者や、鷲津に近づき、中国の国家ファンドを指揮する立場となるのか。中国の資金は桁違いであり、本気を出せば日本を買収できてしまうほどの勢いがある。
そんな中国に狙われたアカマ自動車は、どのようにして防衛していくのか。様々な防衛手段がある中で、完璧な防衛は法律に頼るしかない。となると、アカマが国から保護されるために防衛産業へ進出しようとするのは当然のことだろう。
鷲津の立場や明確な敵はまだ上巻の段階では描かれていない。巨大な資金を持つ相手に対して鷲津がどのような戦い方をするのか。そして、日本の重要な産業を守るために、どのような手段をとるべきなのか。中国のお国柄やそこで法律家として働く女性を描くなど、多方面から物語を盛り上げている。
今の段階では絡まない複数のエピソードが、今後どのように繋がっていくのか。中国のような、ずさんというか論理的ではなく、その時の感情で法律までも超えてしまうような国で、法律家として正義を貫く苦労が描かれるのだろう。
アカマ関連での買収問題は描かれているが、鷲津の同行がはっきりしないため、物語の流れがつかめない。ただ、巨大な資金を持つ相手に対して、正攻法ではないなんらかの裏技を使って事態を打開していくのではないかと想像はつく。
中国のバブル全盛の時に描かれた作品なので、当然ながら、中国の強力な資金力をこれでもかと描いている。ハゲタカシリーズとして、前作ほどきな臭い流れはないのだが、インターナショナルに国家規模での買収合戦になりそうな雰囲気はある。
下巻でどこまで規模が大きくなるのか、楽しみだ。
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