銀河を渡る 


 2019.7.29      憧れる仕事のスタンスだ 【銀河を渡る】

                     
銀河を渡る 全エッセイ [ 沢木 耕太郎 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
沢木耕太郎のエッセイ集。作者のエッセイはいくつか読んだことがある。本作は溜まりに溜まった25年分のエッセイ集らしい。確かに90年代のエッセイもあれば、最近のものもある。このエッセイ集を読むと、作者の人となりがよくわかる。金に執着がなく、人に会うことやいろいろな場所へ行くことを好む性格。

贅沢をしたいわけでも金を儲けたいわけでもない。ただやりたい仕事をやるだけ。本人の考えてることはよくわかったのだが、家族はどうなのだろうか。すでに60歳を超えた作者は今後も同じスタンスを続けていくのだろう。後半の高倉健がらみのエッセイは、まさに作者の人柄がよくわかるエッセイだ。作者自身も人に好かれるというのが伝わってきた。

■ストーリー
すべてのファンへ捧ぐ――。好奇心を全開に「旅」し続けた25年間を束ねる、全エッセイ。『深夜特急』の終わりで迷った末に訪れなかった「夢の都市」マラケシュへの旅、『一瞬の夏』から始まった新たな「物語」を生きる若きボクサーへの夢、「深い海の底に」旅立った高倉健へ贈る最後のメッセージ。

■感想
作者の人間性がよくでているエッセイだ。25年も前のエッセイではあるが、それほど古さを感じない。唯一、昔のエッセイだと実感するのは、登場してくる人物がかなり昔の大物だということだ。美空ひばりや高倉健。有名な映画監督に、有名な登山家。

そもそもが「深夜特急」でこの作者を知り、そこから読み始めたのだが、やはり常人とは違う考え方をもっている。金にまったく執着がなく、無ければ無いなりの生活をすればよいと考える。そういう考え方なので、嫌な仕事は即座に断ったりもする。

下済み時代にありがちな貧乏での苦労話はない。ひとつの小説を書くために、他の仕事を一切断ったりと、どのようにして収入を得ているのかわからないが、仕事に対するこだわりが強い。本当にやりたい仕事だけをやる。そんなスタンスでありながら、多くの仕事が舞い込んでくるのは、やはり作者の人柄によるところが大きい。

何か親切にされたら律儀に手紙を書く。スポーツ選手に対しての接し方もすばらしい。特にアテネオリンピックの観戦記は、当時の選手の裏側を知れるようで良い。

高倉健とのエピソードはすばらしい。あの高倉健がほれ込んだ男が作者だ。突然、家に高倉健がやってきて、バッグをプレゼントされたりもする。一緒の取材旅行でボロボロのバックを持っているのを見てプレゼントしたらしい。

作者も高倉健という大物に対してものおじすることなく意見を言う。作者のすばらしい人柄が他者をひきつけ、そして仕事につなげている。仕事をえり好みする大黒柱に対して、家族はどのような心境でいたのかわからないが、あこがれるスタンスだ。

金に執着がないのは、生まれついての性格によるところが大きいのだろう。



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