2020.12.13 パンダが主役の特殊な物語 【ドミノin上海】
ドミノin上海 /恩田陸
評価:2.5
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■ヒトコト感想
作者の作品である「ドミノ」の騒動が上海で巻き起こる。次々と事象がつながっていく。ペットのイグアナの幽霊が登場したり、パンダが登場したり。特に強烈なインパクトがあるのはパンダの厳厳の視点だ。パンダがスレた考え方をし、他のパンダとは違うアウトローな考え方をもつ。そして、常に動物園から逃げ出すことだけを考えている。
謎の風水師や、映画撮影がとん挫し四苦八苦している監督。ひとつのできごとが次の出来事につながる。多数の登場人物がコミカルに動き回る。複雑に絡み合う人々。パンダがメインとなっているのだが、どのようなオチとなるのかは想像できない。強烈なインパクトはないのだが、前作「ドミノ」が好きな方は楽しめることだろう。
■ストーリー
イグアナが料理されれば盗賊団が上海に押し寄せ、そこに無双の甘党が上陸。風水師が二色に塗り分けられ、ホラー映画の巨匠がむせび泣くと秘宝『蝙蝠』の争奪戦が始まった!革ジャンの美青年がカプチーノをオーダー、一瞬で10万ドルが吹き飛んだら、上海猛牛号で渋滞をすりぬけ、まぁとにかく寿司喰寧。歯が命のイケメン警察署長が独走し、青年が霊感に覚醒したとき、パンダが街を蹂躙する!張り巡らされた魔術に酔いしれよ!圧巻のエンタテインメント。
■感想
序盤からいきなり映画撮影時の主演俳優のペットが行方不明となる。イグアナをペットとして飼う俳優も特殊だが、それを撮影場所である上海にまで連れてくるのがすさまじい。さらには、そのイグアナは、上海の中華料理屋で食材と勘違いした料理長に調理されてしまう。
強烈すぎる序盤だ。そこから自分の大事にしていたペットのイグアナが突如として調理されて目の前に現れたとしたら…。誰でもショックは大きいだろう。主演俳優がやる気をだせず、そこで撮影は中断されることになる。。
複数のエピソードが数珠つなぎとなり次のエピソードに続いていく。強烈なのは間違いなパンダの厳厳のエピソードだ。癖のある飼育員の厳しい監視の目をかいくぐり、脱走しようとする厳厳。他のパンダが無邪気に観客に笑顔をふりまいているのを横目に、虎視眈々と脱走する機会を狙うアウトローなパンダ。
パンダの心情が描かれている作品もめずらしい。動物園から逃げ出すことに成功し、そこからぬいぐるみにまぎれ、ついには彫刻の中に入り込んでまでも脱走しようとする。
ラストはすべての繋がりが連続するようにパンダの厳厳が捕まることにつながる。あらゆることがぶっ飛んだ設定となっている。強烈なインパクトはないのだが、この繋がりの妙を楽しむことができるのならば十分だろう。
パンダや死んだイグアナの視点での会話は特にぶっ飛んでいる。イグアナの霊が中華料理屋の厨房の天井にさまよっていることを見つける風水師なども特殊すぎる。作者のシリアスで摩訶不思議な雰囲気が好みの人にとっては受け付けられないかもしれない。
パンダが主役をはっているのはかなり特殊だ。
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