2018.5.6 すさまじいバブルの香り 【アルバイト探偵】
アルバイト探偵 アルバイト探偵シリーズ1/大沢在昌
評価:3
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■ヒトコト感想
六本木で私立探偵を営む冴木椋介。その息子であるチャライ高校生が本作の主人公である冴木隆だ。バブル全盛の作品だけに、とんでもないバブル臭がする。今でいうところの「IWGP」的な時事の問題を扱いながら、アルバイト探偵として隆が活躍する。父親が女好きだが、隆も十分女好きで、ナンパはお手の物。年上のお姉さんを狙いつつ、父親も同じ女を狙っていると知ると対抗しようとする。
基本は、隆がアルバイト探偵として危険な調査をし、最後には父親が出ばってきてすべてを丸く収めるといった感じだ。シリーズとしてスタートするにあたり、父親の過去の素性が少しだけ語られている。そして、隆が椋介の本当の子供ではないような描写まである。
■ストーリー
冴木涼介は六本木の私立探偵。ずぼらで女好きの不良親父だがヒゲの似合う顔つきで見てくれは悪くない。1人息子の隆はツッパリにもオタクにもならず適度な不良する高校生だが事件があれば親父が最も信頼するパートナー、アルバイト探偵(アイ)としてバイクを飛ばす。美人家庭教師麻里さんが持ち込んだ依頼とは?
■感想
アルバイト探偵として活躍する隆。美人家庭教師の麻里さんを父親と取り合ったりする中ではあるが、基本は父親との仲は良い。煙草を吸うのは当然として酒も飲む。女の子をナンパし、調査に役立てたりもする。
本当に危ない仕事は父親が引き受けるのだが、この父親がまた典型的な女好きでちゃらんぽらんという雰囲気がある。ただ、仕事の時は真剣で、過去にはなんらかの秘密があることを匂わせたりもする。椋介はさながらシティーハンターの冴刃遼のようなイメージを思い浮かべて物語をよみすすめた。
雰囲気は、昔ながらの探偵モノだ。マンションの一階には喫茶店のオーナーの圭子ママや、バーテンの星野などキャラは立っている。住居と事務所を兼務した場所で、椋介は無精ひげを生やした状態で寝転がり、依頼者がくると隆が「資料の整理中でして」と言い訳して時間を稼ぐ。
そして、椋介が颯爽と現れる。まさに昔ながらの探偵モノとしての定番パターンだ。椋介の元の職業については謎があり、その元同僚たちとのゴチャゴチャがあり、ハードボイルド風な流れとなる可能性もある。
隆は椋介の素性を知らされていない。うだつのあがらない私立探偵ではあるが、格闘技の腕や様々な特殊能力があることについて、疑問にも思っていない。さらには、アルバイト探偵ではあるが、隆もそれなりにできるというのがある。
チンピラであればボクシングのテックニックであっという間にのしてしまう。隆がバブル全盛の六本木で遊び歩いている様は、まさにIWGPでマコトが池袋の街を眺めながら、ひとり事を言うのに似ている。まさにバブル版のIWGPだ。
シリーズ化されているので、今後は謎が解き明かされていくのだろう。
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