あのひとたちの背中 


 2018.3.27      大御所にインタビュー 【あのひとたちの背中】

                     
あのひとたちの背中/重松清
評価:2.5
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■ヒトコト感想
重松清が様々な人にインタビューした作品。基本的に重松清が「会うと緊張する」タイプの人ばかりを集めているので、当然ながら登場してくるのは大御所ばかりだ。インタビューする人物に対して知識があれば楽しめるだろう。自分の場合は、ちばてつやや浦沢直樹などはわかるが、その他の人物についてはあまり知識がない。文庫版のみ北村薫などが登場してくるので、それなりに楽しめたのだが…。

基本的には作者と同年代であったり、同レベルの趣味や知識がないと楽しめないだろう。タイトルにあるように、とんでもない大御所に対して、作者が緊張しながら会話しているのが伝わってきた。ちばてつやにサインをもらって喜ぶ姿は、作者の年代であれば納得できることなのだろう。

■ストーリー
伊集院静、浦沢直樹、山田太一、赤川次郎、ちばてつや……著者が尊敬する、メジャーを極めた十三人との至高の時間を過ごした対談集。ずっと、ずーっと、いつも見ていた、追いかけていた、憧れのひと―。作家、映画監督、脚本家など各界の第一線で常に“次作が待ち望まれている”13人の人物ドキュメンタリー&対談集。生い立ちから死生観まで本音を引き出す。

■感想
ちばてつやにインタビューする重松清。確かにあの「あしたのジョー」の作者であるちばてつやと交流するのは、重松清の年代であればとんでもなく光栄なことなのだろう。インタビューの終わりにマンモス西の絵がはいったサイン色紙をもらって大喜びする50代のおじさん。

子どもが見たら滑稽に思えるかもしれないが、これこそが純粋に少年の気持ちを忘れないということなのだろう。作家として有名になり自分が緊張するくらい憧れの存在に話を聞くことができる。うらやましい環境であることは確かだ。

浦沢直樹は、重松清と同年代だろう。漫画家としての能力の高さは当然として、その先にあるのは、どのように作品を生み出すかや、ヒットすると予言してしまうその能力だ。書き始める際に、この作品がヒットするかがわかるらしい。そして、書き出す前にラストまでストーリーが決まっていることに驚いた。

あの長大な作品も全て事前に決められたストーリーどおりに描かれていたのだろうか。全ての漫画家がそうだとは限らないが、やはり天才というのは他の人とは一味違う能力をもっているのだろう。

各界の第一人者たちばかりを集めたらしい。伊集院静や山田太一などは、自分の世代ではあまりなじみがない。出てくる話も、自分が生まれる前の話など、かなり昔のことだ。作者自身は大御所の青春時代の話を嬉々としてインタビューしている。

大御所がどのような行動をとってきたのか。強烈なインパクトはないのだが、重松清と同年代であれば楽しめるだろう。インタビューする人物のことをまったく知らないと楽しめない。ある意味読む人を選ぶ作品であることは間違いないだろう。

対談ではあるが、作者の話はほとんどでてこない。



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