2019.8.7 警察を狙いにかけるヤクザ組織 【雨の狩人 下】
雨の狩人 下/大沢在昌
評価:3
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■ヒトコト感想
上巻で暗殺者「佐藤」に狙われた佐江。下巻でもその追及の手が緩むことはない。絶体絶命のピンチに陥った佐江を救ったのは謎の女ライダーだった。殺し屋佐藤に対抗しうる謎の殺し屋。その存在のルーツと、誰が女殺し屋に命令をしたのかがはっきりしてくる。高河連合の目的がはっきりし、延井が真実を知る者を排除しようとする。
佐江を中心に殺し屋同士の対決のにおいがしてくる。そして、佐江とコンビを組んでいた警視庁の谷神にも大きな秘密があった。ヤクザの組織の論理では、警察に手を出さないというのがあるが、すべてを超える恨みがあれば警察だろうと容赦なく攻撃してくる。佐江は死を覚悟し事件に対応する。このシリーズも終わりに近づいているのだろう。
■ストーリー
佐江と谷神は高河連合が推し進める驚くべき開発事業の存在を暴き出した。だが、ヒットマンらしき男に命を狙われる佐江。死をも覚悟したその時、ライダースーツ姿の謎の人物が殺し屋の前に立ちはだかった…。高河連合の「Kプロジェクト」とは何か?佐江の「守護神」とは誰なのか?白熱のエンターテインメント巨編、圧巻の大団円!
■感想
上巻では事件の黒幕が不明だったが、高河連合の動きによりはっきりとした展開が見えてくる。佐江を狙う暗殺者佐藤。そして、フィリピンからやってきた女暗殺者プラム。物語の中盤でプラムが日本にやってくるまでが描かれている。
ミツという人物に助けられたプラム。この時点では、佐江が追いかける事件との関連は描かれていない。それが、佐藤に狙われた佐江をプラムが助けたことにより、少しづつ繋がりが明らかとなってくる。ミツが、実は佐江の相棒であった谷神というのは衝撃だ。
ミツの命令により佐江を守るために動き出すプラム。そして、実はプラムの父親が佐藤だということにお互いが気づく。不運というか、繋がりの妙が本作には描かれている。谷神が司法の力を使わず独自の判断で悪を断罪しようと考える。現在のターゲットは高河連合のトップである延井だった。
佐藤とプラムの対決に加え、狙われていることを知る延井がなりふり構わず佐江と谷神を殺すために動き出す。今までのこの手の作品では、警察に手を出すことはないという不文律があったが、それを崩すほどの怒りだということだ。
ヤクザが覚悟をもって狙いにくると、警察だろうが逃げることはできない。佐江と谷神は延井へ奇襲を仕掛けるために動き出す。すべては警察組織には内密にした行動となり、警察という巨大組織の力を使うことはできない。覚悟をもった戦いは、佐藤とプラムという親娘の戦いでもある。
暴対法が施行され、ヤクザが生き残るには厳しい世界になった。そんな中で、頭が切れるヤクザは生き残る方法を模索する。谷神は自分の正義のため。佐江は司法を守るために戦おうとする。
このシリーズも、ラストの佐江の状況からすると終わりなのだろうか。
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