2015.12.17 日本版とは異なるオチ 【容疑者X 天才数学者のアリバイ】
■ヒトコト感想
「容疑者Xの献身」は原作も日本版の映画も見た。どちらも非常に面白かった。日本版の映画をリメイクした本作。決定的な違いとしては、湯川的な天才科学者がおらず、普通の刑事がその役割を担っているということだ。探偵ではなく刑事が捜査し、その刑事に特別な個性がないとなると、否が応でも犯人役である数学者に注目が集まることになる。
刑事の個性がない分、余計なブレがなくひたすらさえない数学者がメインとなる。基本ストーリーは日本版と同様だが、ラストの流れが大きく違う。日本版はなんだかなんだで主役は探偵ガリレオなので、ガリレオが勝つ流れとなる。それが本作では、刑事役がすべてを解き明かしたとしても、すべては数学者の思い通りの結末となっている。
■ストーリー
高校の数学教師として孤独に暮らすソッコは、隣室に引っ越してきた女性ファソンが偶発的に元夫を殺害したことを知る。秘かに見守ってきた彼女のために、ソッコは完璧なアリバイを考え出し、彼の指示通りに動いたファソンは捜査線上から無事に逃れた。だが徐々に態度を急変させていくソッコ。そこには驚くべき“緻密な計算"と“献身愛"が隠されていた──
■感想
原作は非常に面白く、ミステリーとしても優れていた。直前の行を読んでいてもトリックがわからないほどすばらしい構成だった。日本版の映画としては、ドラマから映画という流れがあり、福山が探偵ガリレオを演じていたことで、違った見方もあるが、原作の面白さを十分表現できていた。
リメイク作品である本作は、韓国風な場面は多々あるにしても、基本は日本版と同じだ。数学者のさえない風貌が、日本版の堤真一とどことなく雰囲気が似ている。ただ、福山役は存在せずに、普通の刑事が役割をになっている。
さえない数学者のソッコ。自分の人生を捨ててまでも、隣の女性たちを助けようと思ったのはなぜなのか。このあたりは日本版と同様にいまいち釈然としなかった。ただ、日本版では相手のことを考えながら献身的にすべてをささげ、隣の女性を助けようとしたが、結局探偵ガリレオにすべて看破された。
そこまで力を注ぎ献身をささげながら、どうにもならないやるせなさがあった。本作ではそのあたりが大きく変更されている。ソッコが自分の人生をかけて取り組んだ仕組みが成功し報われるという流れだ。
韓国独特の雰囲気があるのは間違いない。弁当がのり巻きになったり、酒を飲む場面では韓国風の酒盛りだったり。物語のカギとなる場面としては、ソッコがダイビングを趣味としていたことだろう。このあたり、事件のトリックを完璧にするために必要な要素なのだろう。
日本版では結局すべてが明るみにでたことが、韓国版では最後まで隠ぺいされたことの違いにつながるのだろう。探偵ガリレオが存在しないことで、数学者が主役であり、警察はおまけでしかない。数学者がメインのリメイクだ。
日本版が好きな人ならば、間違いなく楽しめるだろう。
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