「知的野蛮人」になるための本棚 佐藤優


 2016.4.9      独自の理論で本を選ぶ 【「知的野蛮人」になるための本棚】

                     
「知的野蛮人」になるための本棚 PHP文庫 / 佐藤優 サトウマサル 【文庫】
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■ヒトコト感想
作者がすすめる様々なジャンルの本が紹介されている。前書きとして、信頼できる書評家の話から始まり、本の読み方に対して独自の理論がある。自分にとって読むべき本かどうかを判断するために、最初に本の内容をざっと読み、時間をかけて読むべきかを判断する。確かに、今の時代、本のコストを問題にするよりも本を読むための時間の方がコスト的には大きいのだろう。

人生の時間は限られている。その中で世間に存在する膨大な本の中で何を選ぶのか。自分の場合は、そんな感覚で本を読んだことはないので、かなり衝撃というか強い印象を受けた。本作を読んだからといって、今の自分の読み方を変えるつもりはない。が、作者がすすめる本を参考にすることは確かだ。

■ストーリー

1人の人間の能力や経験には限界がある。この限界を突破する最も効果的な方法が読書だ。読書によって代理経験を積むことができる。そして本には読む順番がある。本書では、当代随一の読書家・佐藤優氏が、57の重要テーマについて「真っ先に読むべき2冊」を厳選して紹介。佐藤流の「書店活用法」「選書術」「読書法」を開陳した巻頭・巻末の“紙上特別講義”も必読!

■感想
人間の能力の限界を突破するために本を読む。そんな高尚な感覚で本を読んではいないが、作者の説得力ある説明はかなり強烈だ。さまざまなジャンルの本を作者が紹介してくれる。やはりビジネス書が全般として多いが、小説やマニアックな本にまで言及している。

小説については、「1Q84」が語られている。特別インパクトのある書評でないのは残念だが、ヒット作品をただおすすめとして加えたというわけではないようだ。書評を書いているくらいだから当然読んでいるのだろう。作者が普通の小説を読むことに驚いてしまった。

書評についてはそれなりにバラエティに富んだ作品が紹介されている。特筆すべきは作者の書店活用法や読書法だ。今やネットショップで買うのが当たり前のようになった本。それをあえて書店で買うことに、どのような効果があるのか。ネットのようにワンクリックでは買わない。

他に多数の本がある状況こそが、書店の魅力なのだろう。読書法についても、人間の人生の時間は有限であるだけに、その時間をいかに有効に使うか。無駄な読書をしないため、良い本と悪い本の見分け方が書いてある。

速読法を身に着けている作者だからこそできることもある。一般人が同じことをするのは難しいのだろう。それでも、読書する際に心構えとして必要なことや、どのような基準で本を読むかなど、もし、今から読書を習慣化しようと思っている人がいたら読んだ方がよいのかもしれない。

数々のおすすめ本の中に、ちゃっかり自分の本が何冊かあるあたり、作者のしたたかさを感じずにはいられない。作者の小難しい作品がどの程度理解されるか。読書家には煩わしく感じるかもしれないが、正しいことを言っているような気がした。

作者がおすすめする本を1冊は読んでみようと思った。



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